【NOSE SHOP HISTORY:前編】「香水砂漠」を変えた、NOSE SHOPの挑戦。常識破りの発想で日本に新しい香りの文化を創造!

こんにちは。NOSE SHOPです。
皆さんは、日本の香水市場がかつて“香水砂漠”と呼ばれていたことをご存知ですか? そんな状況に、果敢に挑戦して、日本の香水市場を改革してきたのが、日本初のニッチフレグランス専門店「NOSE SHOP(ノーズショップ)」です。

今回【NOSE SHOP HISTORY】と題し、前編・後編の2回に渡って、NOSE SHOPのこれまでの軌跡と、未来への展望をご紹介します。

まず前編では、NOSE SHOPの根底にある「ミッション」と、五感を刺激する「店舗空間」の秘密に迫ります。

ニッチフレグランスで、「香水砂漠」にオアシスを

2017年8月、NOSE SHOPが産声を上げたその年。当時、ヨーロッパを拠点とする香水ブランドやファッションブランドのマーケッターの間では、日本の香水市場を揶揄するある言葉が流布していました。

それは、「香水砂漠」。

世界的に見て経済的には豊かにも関わらず、たくさんのマーケティング予算を割いても香水がなかなか普及しない、不思議な市場、日本。現在のNOSE SHOPのラインナップの中でも人気のブランド「Etat Libre d'Orange(エタ リーブル ド オランジェ)」のゼネラルマネージャーから、この言葉を初めて耳にして驚いたNOSE SHOP代表の中森。しかし、彼は日本を「香水砂漠」とは捉えていませんでした。

「繊細な『日本食』が世界で評価されているように、日本人の味覚や嗅覚は世界に誇れるもの。香水が売れないのは、香水文化が成熟したヨーロッパの売り方そのものを市場に押し付けているだけで、現代の日本人の感性に合ったアプローチができていないからではないか?」

そう考えた中森は、現代の日本人の新しい感性に響く、斬新な香水の楽しみ方を提案することを決意しました。

その当時、「香水」といえば、敷居が高く、分かりづらく、玄人だけが楽しんでいるようなイメージがありました。それは、従来の香水売り場が、百貨店の化粧品売り場の一角に、煌びやかな装飾でブランドごとに区切られた、高級ブランド然とした佇まいだったことに起因したのかもしれません。

店員がカウンター越しに接客するスタイルで、お客様は自由に商品に触れたり、試したりすることが難しい雰囲気。試香紙に香水を吹きかけて渡されることが多く、香りを試すにも店員を介する必要がありました。自社ブランドの香水の知識にのみ特化した店員が多く、お客様は難しい専門用語やブランドの歴史などを説明され、選ぶことが重荷になることもありました。

このような状況では、香水に興味があっても、気軽に試したり、購入したりすることが難しく、特に、香水初心者にとっては、ハードルが高く、香りの世界を楽しむ入り口を見つけにくい状況でした。

NOSE SHOPは、そのような旧来の香水のイメージを払拭し、もっとカジュアルに、気軽に香水を楽しめる空間を提供したいと考えました。

あくまでも現代の日本人のライフスタイルに寄り添った形で、新しい香水の魅力を伝えたい。それが、NOSE SHOPの目指すところです。

そして、2017年にNOSE SHOPが誕生しました。

日本人の鼻の解像度を上げる

「日本人の鼻の解像度を上げる」。これが、NOSE SHOPの掲げるミッションの一つ。ニッチフレグランスに代表される新時代の香水という高品質な香りを楽しみ、香りに喜びを見出す人を、一人でも多く増やす。そのために、NOSE SHOPは様々な工夫を凝らしてきました。

例えば、ファッション販売が主だった駅ビルやファッションビルへの出店。いまでは当たり前になりつつあるこういった場所への香水のお店の出店は、日本のみならず世界的にみても、当時はとてもめずらしいものでした。香水先進国のヨーロッパではニッチフレグランスは路面店で販売するスタイルが通常です。こういったNOSE SHOPの出店場所の選定は、業界にはびこる「常識」破りの最初の一手でした。

従来の香水売り場とは一線を画す、カジュアルなセミセルフ式の接客スタイルも、NOSE SHOPの大きな特徴のひとつです。ずらりと並んだ世界中のたくさんの香水を、お客様自身で気軽に試せるように、簡単に香りを手に取れる「試香カップ」を設置しました。またその香りの世界観を文字情報として伝える「キャプション」は、わずか100文字。シンプルながらも、他と違う香りの個性を簡単にそしてわかりやすく際立たせる工夫であり、あれもこれもとたくさんの種類を読んでみたくなるような負担の少ない仕掛けです。さらに、ブランドからの公式の説明だけでなく、他のお客様の感想=レビューを読めるようにQRコードも併記しています。今となっては業界のスタンダードとなり、多くの模倣(モノマネ)を産みつつあるこれらの展示のプレゼンテーション手法ですが、日本のみならず世界的にみても、香水販売における、NOSE SHOP独自の「発明」と言っても過言ではありません。

そして、アバンギャルドで近未来的な店舗デザイン。まるでアートギャラリーのような空間で、お客様の五感を刺激する新しい香りの体験を提供しています。

これらの取り組みは、単に日本国内で評価され、追随するショップを多数生んだだけでなく、海外からも注目を集め、「NOSE SHOPスタイル」として、世界的に新しい香水販売のスタンダードとして認知されつつあります。

これらの革命的ともいえる取り組みを通して、NOSE SHOPは、ニッチフレグランスの魅力を日本に広め、新たな香水ユーザーを生み出し、日本市場につけられた「香水砂漠」という世界的な負のレッテルを覆すことに貢献しつつ、さらに世界的にも、ニッチフレグランスという香水界の偏流だった存在を、香水界の主流(メインストリーム)へと押し上げることにも貢献してきました。

近年では、ここ日本でも香水を楽しむ人々が少しづつ増えて、「香水砂漠」という言葉は、もはや過去の遺物になりつつあります。

NOSE SHOPはこれからも、固定概念に囚われず、日本の香水市場に新たな風を吹き込み続けます。 (後編へつづく)