Maya Njie
マイヤ エンジャイ|過去の時代と場所が融け合う家族の香り
西アフリカをルーツに持ち、北欧の中でも最も古い都市といわれるスウェーデンのヴェステロースに生まれたマイヤは、十代後半にロンドンへ移住。その後、世界を代表する芸術大学であるロンドン芸術大学に入学し、デザインと写真を学ぶ。大学在学中にマイヤはそれら視覚的芸術に、嗅覚的なアプローチを加えた新たなアートを実験し始めた。自分が生まれる十数年前、1970年代の古い家族の写真アルバムに触発されて、彼女の家族たちのひとつの時代をその写真と香りで活き活きと再現するという実験的なプロジェクト。たとえば、森に囲まれた小さなスウェーデンのサマーハウスの写真、日曜日の午後に訪れる祖父母のアパートの写真、それから、ラースおじさんとアイリーンおばさんの結婚式の写真。マイヤが取り出してみせたのは、すこし前のスウェーデンにはどこにでもあった日常的な風景。彼女は、その風景に、1970年の北欧の牧歌的な精神性と、西アフリカ由来の伝統的で自然的な精神とを香りで融合させることを目指した。
大学卒業後、マイヤはロンドンのフィールズにあるアート拠点「ザ・ランドリー」で数年間の研鑽を積み、そこで彼女はさらに嗅覚の世界を探求して、さまざまな原材料を試し、独学で香水の作り方を学び続け、ついには2016年に自身の名を関したフレグランスブランドをスタートさせ、ロンドンの老舗百貨店リバティで華々しいデビューを飾ることとなった。
すべての香水はマイヤによって調香およびデザインされ、ロンドンの自身のアトリエの2Fで彼女の手によって少量生産され続けている。