NEZ15
NATURAL VS. SYNTHETIC

失われた香りの庭にて

「失われた香りの庭にて」
アンヌ=ソフィ・ブーヴィル、グザヴィエ・フェルナンデス

古代から愛された香料の中には、今や姿を消したものがある。カラムスの神秘的な力、ヒヤシンスの高価な魅力、ユダヤ・バルサムの聖なる伝説。これらの香りは、毒性や希少性、コストの問題で失われていった。しかし、それぞれに驚くべき歴史がある。聖書に登場する謎めいた香料や、マリー・アントワネットが愛したナードなど、失われた香りの世界を探訪する。香水の歴史を通じて、古代の神秘から現代の科学までの驚くべき旅が始まる。
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NEZ14
NATURAL VS. SYNTHETIC

崇拝される天然原料

「崇拝される天然原料」
ドニーズ・ボリウ

香水業界で天然原料崇拝が進む一方、その裏には複雑な真実が隠されている。かつては化学的な成分が禁忌とされたが、今や天然と人工の境界線が曖昧になりつつある。グラースの伝統的な香料栽培から最新のバイオテクノロジーまで、香水の世界は急速に変化している。この記事では、香水の歴史、文化、そして最新のイノベーションを探り、「自然」や「香り」について私たちが持つ固定観念に挑戦する。香水愛好家も科学マニアも、この意外な真実に魅了されるはずだ。 …
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NEZ13
NATURAL VS. SYNTHETIC

香水は本当に恐るべきものなのか

「香水は本当に恐るべきものなのか」
ジュリエット・ファリウ

香水業界は透明性の欠如と健康リスクの疑惑に直面している。しかし、天然=安全、合成=危険という単純な図式は誤りだ。実際、多くのアレルゲンは天然成分由来だ。業界は厳格な自主規制と科学的評価を行い、EUの規制も世界最高水準だ。にもかかわらず、消費者の不安は続く。この記事は、香水の安全性をめぐる神話と現実、業界の取り組みと課題を探る。香りの魅力の裏に潜む意外な真実を明らかにする。 …
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NEZ12
NATURAL VS. SYNTHETIC

未来の香りはいかにして作られるのか

「未来の香りはいかにして作られるのか」
エレオノール・ド・ボヌヴァル

香水業界の裏側には、知られざる革新の世界がある。香料メーカーは毎年数千もの新分子を開発し、厳しい審査を経て、わずか数種類が実用化される。この過程には莫大な費用と時間がかかり、規制対応や環境への配慮も必須だ。さらに、天然と合成の境界線が曖昧になりつつある中、バイオテクノロジーが新たな可能性を開いている。香水の未来はどこへ向かうのか。業界の最前線で繰り広げられる熾烈な競争と革新の物語を覗いてみよう。
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NEZ11
NATURAL VS. SYNTHETIC

合成香料の誕生

「合成香料の誕生」
ウジェニー・ブリオ

19世紀末、化学の進歩が香水業界に革命をもたらした。クマリン、ヘリオトロピン、バニリンなどの合成香料の誕生により、香水の世界は一変。製造コストの削減で香水が民主化・大衆化し、新たな創造の可能性も広がった。しかし、当時、合成香料には危険性や品質への疑念も付きまとった。それでも、天然と合成の巧みな調合が新たな芸術として認められ、現代の香水産業の基礎が築かれた。この革命的な変化が、今日の香水文化をどう形作ったのか、その舞台裏に迫る。 …
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嗅覚芸術の展望
PERFUME & ART

嗅覚芸術の展望

「嗅覚芸術の展望」
クララ・ミュラー

嗅覚芸術の世界へようこそ。長らく軽視されてきた「香り」が、現代アートの最前線で新たな表現の可能性を切り開いている。有毒ガスから人体の分泌物まで、あらゆる匂いが芸術の素材となり、記憶を呼び覚まし、感情を揺さぶる。視覚中心の芸術の常識を覆し、五感全てで体験する革新的な作品の数々。そして、その背後にいる型破りな芸術家たちの挑戦。嗅覚を通じて世界を新たに捉え直す、刺激的で挑発的な芸術の最先端に、この章は読者を誘う。
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NEZ09
PERFUME & ART

香りをめぐる共闘関係

「香りをめぐる共闘関係」
リオネル・パイエス

香水の世界の舞台裏で繰り広げられる、調香師とアーティスティック・ディレクターの創造的な駆け引き。言葉と香りが織りなす芸術的な対話から、時代を象徴する名香が生まれる瞬間を覗いてみよう。セルジュ・ルタンスやフレデリック・マルなど、業界の巨匠たちの生の声を通じて、香りの創造プロセスに秘められた情熱と葛藤が明らかになる。アイデアの閃き、技術の粋、そして芸術性の追求。香水が単なる商品ではなく、魂を持った作品として生まれ変わる瞬間を、この章は鮮やかに描き出す。
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調香師は芸術家なのか?
PERFUME & ART

調香師は芸術家なのか?

「調香師は芸術家なのか?」
サラ・ブアース

「調香師は芸術家なのか?」この問いかけが、香水業界の深層に潜む複雑な現実を浮き彫りにする。歴史的変遷、商業と芸術の狭間、そして個々の調香師たちの哲学が交錯する世界。独立系からブランド専属まで、様々な立場の調香師たちが語る本音は、香りの創造に秘められた葛藤と情熱を鮮やかに描き出す。芸術性と商業性、職人技と創造性の絶妙なバランスを追求する彼らの姿から、香水という芸術の新たな一面が見えてくる。香りの世界の真実に迫る、刺激的な一章。
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NEZ07
PERFUME & ART

香り、この(厄介なほど)混ぜ合わさった芸術

「香り、この(厄介なほど)混ぜ合わさった芸術」
デルフィーヌ・ド・スワール

香水は芸術なのか?この一見単純な問いが、法律、哲学、美学、そして商業の世界を縦横無尽に駆け巡る知的冒険の始まりだ。秘密の処方=フォーミュラ、模造品との攻防、そして嗅覚という神秘的な感覚を巡る議論。香りの世界の裏側には、想像以上に深遠で刺激的な物語が隠されている。この章では、香水という日常的な存在を通して、芸術とは何か、創造性とは何かを問い直す。香りの魅惑的な世界へ踏み込む準備はできただろうか?
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NEZ06
THE SEX OF SCENT

鼻に導かれる旅

「鼻に導かれる旅〜嗅覚を通じた欲望の引き出し方」
ギョーム・テッソン

ストリップダンサーからフレグランスメーカー、人形まで、嗅覚は誘惑の世界で重要な役割を果たしている。ダンサーたちは香水を身分証明書のように使い、客を引き付ける武器としている一方、体臭ケアにも気を配る。フレグランスメーカーは、性的快楽を高めるための香りに注目。タブーとされる体臭の再現にも挑戦する。18世紀の媚薬のレシピを現代風にアレンジした香水ブランドも登場。嗅覚は、現実と幻想が交錯する誘惑の世界で、欠かせない要素となっている。
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NEZ05
THE SEX OF SCENT

フェロモンの真実と幻想

「フェロモンの真実と幻想」
エレオノール・ド・ボヌバル、イラック・グールデン

フェロモンは同種の個体間でコミュニケーションを取るための化学物質で、昆虫や哺乳類など多くの動物で確認されている。しかし、ヒトにおけるフェロモンの存在は未だ立証されていない。一部の研究では、ある物質がヒトの行動や生理機能に影響を与える可能性が示唆されているが、懐疑的な意見も多い。それは人間のもつ複雑な脳機能が動物のように即時的な反応を抑制するからと考えられるからだ。果たしてヒトに作用するフェロモンはあるのだろうか。 …
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NEZ04
THE SEX OF SCENT

魅力のケミストリー

「魅力のケミストリー〜体臭が紡ぐ愛」
エレノール・ド・ボヌヴァル

体臭は、免疫システムや遺伝子の影響を受け、個人を特定できるほど独特である。新生児は母親の匂いを識別し、家族の匂いを好む傾向にある。恋愛においても、容姿や性格だけでなく体臭が重要な役割を果たす。体臭は、感情や年齢、ホルモンバランス、病気などによって変化し、食生活の影響も受ける。恋愛では、匂いが他者を識別する役割を果たし、初恋の香りが後の恋愛に影響を与えることもある。体臭によるつながりは視覚情報よりも愛を深める秘訣となり得る。 …
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NEZ03
THE SEX OF SCENT

誘惑のイメージ

「誘惑のイメージ〜香りが描く現代の男女像」
デルフィーヌ・ド・スワール

香水の広告は、身体やカップルの官能的なイメージを通して、欲望や誘惑を表現してきた。しかし、現代では性やジェンダーをめぐる価値観の変化により、従来の表現方法が十分に機能しなくなっている。今日の広告には、多様化する恋愛観や性別の固定概念を超越する新しい提案の形が求められている。香水ブランドは、古いステレオタイプなイメージに頼るのではなく、消費者一人一人の物語に寄り添うことがますます重要になっている。 …
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NEZ02
THE SEX OF SCENT

香りの性別

「香りの性別〜境い目が消えつつある男性用の香水と女性用の香水」
ドニーズ・ボリウ

香りというものは、本質的には性別を有しないものだが、文化的な慣習により香水には男女の区別がなされてきた。しかし、1800年代後半のゲランの「ジッキー」などのジェンダーを意識させ過ぎない香水の登場以降、性別の境界を曖昧にする動きが広がった。男女双方に影響を与えるオーデコロン、性別のステレオタイプを揺るがすゴルチエやミュグレーの作品や、昨今のニッチフレグランスによる性別の再定義など、香りは性別の流動性を示す繊細な表現として進化し続けている。…
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NEZ01
THE SEX OF SCENT

男性が香りをまとう

「男性が香りをまとう〜常識をぶっ壊せ!『香水は女性のためのもの』という固定概念の変遷」
ウージェーヌ・ブリオ

西欧では香水は長らく女性的とみなされ、男性の使用は暗黙の中で制限されてきた。時代により男性の香りの使用に寛容な時期もあったが、19世紀には男らしさの理想像が変化し、香りの使用はより慎むべきとされた。20世紀に入り、男性用の香水が登場。特にシダをベースとした香りが男性的価値観と結びつき普及した。男女の社会的役割の変化とともに、香りと性別の関係も流動的に変化している歴史を紐解いていく。 …
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