叶わぬ帰還への憧れと痛み。女神の母と人間の父を持つギリシャ神話の大英雄アキレウス。その愛と戦の二面性を表現。槍か盾か。ウードの力強さにローズの美しさが交錯する。宿命に抗う魂を香りによって描き出す。

トップ｜インセンスエッセンス、マンダリンエッセンス、サフラン
ボディ｜ローズエッセンス（トルコ産）、ローズ（トルコ産、Abs）、ジャスミン（Abs）、ウードアコード
ベース｜サンダルウッドインセンス、ジョージーウッド、アンブロフィクス

パフューマー｜ジョルディ・フェルナンデス

【ストーリー】
ノストス―アキレウスはオデュッセウスよりも美しい。

Nostos（ノストス） とは、ギリシャ語で「帰還」を意味する―それは永遠に不可能でありながらも、心と想像力に訴えかけるもの。希望が残る混沌とした時空の中での帰還。
ノストスは、切なく胸を締めつける感情「ノスタルジア（郷愁）」の根源であり、それ自体が「帰還の痛み」なのだ。

ここでは、香りこそが叶わぬ帰還への儚い媒介となる。
まるで 三千年もの間燃え続けた深遠な香のように、香りはホメロスの叙事詩を讃える。その最も美しき英雄、怒りとその予測不能な結末によってトロイア戦争を引き起こしたアキレウスの物語を。

ノストスの象徴となるのは、オデュッセウスではなくアキレウス。
これは『オデュッセイア』のような帰還の物語ではない。神々によって創られ、愛から生まれた香り―それは、まさにトロイア戦争そのもの。

アキレウスは、二重の本質を持つ英雄である。
母である女神テティスを通じて神性を持ち、父ペーレウスを通じて人間でもある。彼の内には 二面性の美が宿る。
恐るべき戦士であり、強靭で鋭いムスクの力を持つ―ウードの極限的な男らしさなしに、トロイアは滅ぼせなかった。
しかし時には、バラが象徴する女性性も持ち合わせている。
アキレウスは、暴力と美、そして人間の多様性の極致を体現する存在である。

槍か盾か、この香りもまた、二重の本質を持つ。
ギリシャの英雄は、ジャスミンとサンダルウッドの魅力を纏う。
戦の芸術か、愛の技法か。
香りは時を攻撃し、限られた運命に抗い、やがて 無慈悲なギリシャ神を打ち倒し、アンバーとサフラン、そしてインセンスで勝利を収める。

アキレウスは決して故郷へ帰ることはない。
彼はそれを知りながらも、運命に抗い続ける。
帰還を望む葛藤に引き裂かれ、宿命に抗うための儚き武器としてのノスタルジアに囚われながら。
そこにこそ、彼の人間性が宿る。

最も美しきギリシャの英雄―
脆くもあり、危険でもある。
炎の神ヘーパイストスによって鍛えられ、勝利のために創られた者。
その香りは、アキレウスの魂そのもの。

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原産国｜フランス
成分｜変性アルコール、香料、水
本国表記｜NOSTOS
ブランド｜Etat Libre d'Orange（エタ リーブル ド オランジェ）

Nostos

Notes｜
Top Notes｜Incense Essence, Essence of Mandarin, Saffron
Body Notes｜Turkish Rose Essence and Absolute, Jasmine Absolute, Oud Accord
Base Notes｜Sandalwood Incense, GeorgyWood, Ambrofix

Perfumer｜Jordi Fernandez

Story｜
Incense on the top note evokes the celebratory rituals of the Greeks of antiquity.
With the Nostos eau de parfum, Etat Libre d'Orange turns its attention to ancient Greece, examining the concept of the word’s meaning – to return – and how it forms the etymological root of nostalgia. Few elements can elicit memory quite like smell, and this fragrances wraps its wearer in notes that call to mind the endless summers of dewy youth, like mandarin, Turkish rose, jasmine, saffron and sandalwood.