香料シリーズ【カシス】の回

こんにちは、浦野です。
定番化してきた香料シリーズ(香水に使われている香料を軸として、香水に魅力をお届けしています)少し久しぶりになってしまいましたが、今回の香料シリーズは【カシス】をお届けしたいと思います!

まず、カシスと聞いて私の頭に思い浮かぶのは“カシオレ!”って…お酒の名前…しかもカシスオレンジとは言わない(笑)
実際、どんなフルーツなのか?どんな香りなのか?よく分かってないのが正直なところ。調べてみると…

私達がカシス(Cassis)と呼んでいるのは、実はフランス語の呼び名で、香料によく表記されるブラックカラント(Blackcurrant)と同じ物で、こちらは英語の呼び名になり和名を黒房(クロボウスグリ)と呼ぶベリー類のひとつだそうです。
つまり、カシス=ブラックカラント=黒房スグリです。原産国はニュージーランド、北欧、カナダそして、日本でも栽培されています。日本にカシスが伝わったのは明治時代のこと、北海道や東北地方などの寒い地域を中心に栽培されています。
小さな丸い赤黒い果実を実らせ、ブルーベリーやサンタベリーによく似ている形ですがブルーベリーとは全く異なる植物です。
甘酸っぱい味で、私が思い浮かべたお酒“カシオレ”にリキュールとして使われたりもします。ベリー類のフルーティな酸味と甘味、豊かな香り、そして鮮やかな赤紫色が魅力です。

さて、カシスの香りが分かったところで、NOSE SHOPの香水の中からカシス(orブラックカラント)の香りを楽しめる香水をピックしてみました。

Maison Louis Marie|アンティドゥリス カシス(パフュームオイル)

この香りは、紅茶アールグレイの香り付けに使われるベルガモットの鼻当たりのいい、爽やかなシトラスの香りと、カシスのジューシーな甘酸っぱい香りが全面に打ち出されています。そこにグリーン調のホワイトローズの香りがアクセントになり、ラストは深みや甘みが増していく香りです。
この香りはパフュームオイルとオードパルファムの2種類が販売されていますが、フルーティーな甘みを濃厚にしっかりと楽しむのであればパフュームオイルがおすすめです。
アルコールで香らせるオードパルファムと違い拡散力は高くはないですが、ギュッと濃縮された香りが自分と自分の身近な範囲にだけ長い時間広がります。また、アルコールフリーなので、普段アルコールに被れてしまって香水を纏えなかった方にもとてもおすすめです。

NOTE:
トップ|カシス、ベルガモット、ブラックペッパー
ボディ|ホワイトローズ
ベース|オークモス、ムスク、トンカマメ

NISHANE|ゼン(エキストレド パルファム)

今回ご紹介する“カシス”を楽しめる香水の中でも群を抜いて、ハッキリとした“カシス”の濃厚さを楽しめるのが【ゼン】です。
それは香水の賦香率(香りの濃度)がオードパルファム(香りの持続時間5~6時間程度)よりも高く、エキストレドパルファム(香りの持続時間は6時間以上)である点も関係しています。ブラックカラントの甘酸っぱいフルーティーさと、シトラスは相性がいいのでしょう。カクテルにも“カシスグレープフルーツ”ってありますもんね。そこに、ルバーブの花が添えたら…トップノートだけで、なんだかお洒落なカクテルみたいですね(笑)

話がそれましたが…

まずこのZENNE(ゼン)と言う名前ですが、トルコの影絵劇「カラギョズ」(2003年UNESCOの無形文化財に指定されました)の登場人物の女性にオマージュしている香りなんです。とてもおしゃべりで、自信に満ち溢れており、美貌と妖艶さを合わせ持つヒロインZENNE。

全体の香りの印象としては、とてもフルーティーで甘い香りです。トップのフルーティーさは次第にローズやガーデニアのフローラルへ変化し、ローズを引き連れたまま、ラストはバニラとムスクが甘く香ります。グレープフルーツの苦味、ブラックカラントの酸味、ルバーブの花の独特の甘さの中にある青み。これらの3つの似ている要素が、可愛いだけではない大人の女性らしさを表しているのかもしれません。

NOTE:
トップ|グレープフルーツ、ブラックカラント、ルバーブ
ボディ|ローズ(トルコ産)、ガーデニア、サンダルウッド
ベース|バニラ、アンバーグリス、ムスク

NISHANE|フロラネ(デミ・エキストレド パルファム)

“フロラネ”は私も2020年春に購入し愛用している香水の1つなのですが、フルーティーさ、フローラルのパウダリー感、さっぱりしたヒノキと温かなムスクの絶妙なバランスが軽やかさと清潔感を与えてくれます。また肌なじみがとても良いので、店頭でもこの香りは年齢、性別を問わず気に入って頂けてます。

さて、今回のテーマ“カシス”ですが、先述の通りグレープフルーツの皮がもつ苦味とカシスのもつ酸味には通づるところがあるので、相性バッチリの組み合わせからスタートします。甘酸っぱいフルーティーの香りの余韻は残しつつ、バイオレット(スミレ)とミュゲ(スズラン)のパウダリーな花とジャスミンが華やかさを添えます。そして次第に温かいムスクへと変化していきます。甘ったるくならない秘訣はヒノキ、温かいのに甘さ控えめです。
香りの濃度は【デミ・エキストレドパルファム】と言いNISHANE独自の濃度ですが、オードパルファムとエキストレドパルファムの中間くらいの持続性を持ちます。

NOTE:
トップ|グレープフルーツ、カシス
ボディ|バイオレット、ミュゲ、ジャスミン、アンバー
ベース|ヒノキ、ムスク、バニラ

今回の香料シリーズは【カシス】いかがでしたか?どの香りも“カシス”の甘酸っぱいフルーティーな香りを感じますが、それぞれ違うアプローチになっており比べてみると楽しめると思います。
どの香りがお好きだったか店頭で教えてくださいね。浦野でした。