2025年のニッチフレグランス最新トレンドをレポート!イタリア・ミラノで開催されたニッチフレグランスの祭典「Esxence(エクサンス)」で発見した傾向と変化をレポート!

こんにちは、NOSE SHOPです。
2025年2月下旬にイタリア・ミラノで開催された世界最大級のニッチフレグランスの祭典「Esxence(エクサンス)2025」にて、ニッチフレグランスの最新トレンドをキャッチしてきました。

今回は、皆さまのご要望にお応えして、改めてレポート記事を大公開!

世界中から382ブランドが集結し、今年も大熱狂となった「Esxence 2025」。その中で開催された、『Fragrances of the World』主催のカンファレンスセミナーの情報をもとに、香りのトレンドや注目の新作、業界の動向をNOSE SHOP独自にレポート。さらに、日本人調香師 稲葉智夫氏、NOSE SHOP代表 中森友喜による、業界のプロから見た今年のトピックについてもあわせてお届けします!

2025年、ニッチフレグランスの香りの4大トレンド

2025年のニッチフレグランスの香調の4大トレンドを一挙ご紹介。NOSE SHOPが近年日本で流行の兆しを見せていると予測した「ネオグルマン」も世界的トレンドに。

  • ① Molten Amber(モルテン アンバー)
  • ② Nostalgic Musk(ノスタルジック ムスク)
  • ③ Neo Gourmand(ネオ グルマン)
  • ④ In the Boscage(イン ザ ボスケージ)

① Molten Amber(モルテン アンバー)

溶けるようなアンバーの香りがトレンド。ウッディアンバーとも呼ばれる重厚感のあるアンバーではなく、ソフトなアンバー調の香りが人気を伸ばしており、新作の割合も増加。

NOTE|アンバー、アンバーグリス、バニラ、トンカマメ、ミルラ、パイロジェン、ラブダナム、ベンゾイン、スティラックス、バルサム etc

アンブロキサンを13.5%使用。その多様な側面への探究。
Escentric Molecules|エセントリック02

Escentric Molecules エセントリック02

アンブロキサンを13.5%使用。その多様な側面への探究。エルダーフラワーエキスと合成香料ヘディオンの発泡感を加え、フレッシュでミネラルさを強調。清涼感のある、魅惑的な繊細な官能性への讃歌。

トップ|アルムドゥドラー、ジュニパーベリー、マンダリン、ライム、ベルガモット
ボディ|ジンジャー、フリージア、クラリセージ、ピンクペッパー、ヘディオン、アイリス
ベース|ムスコン、アンブロキサン、ベチバー、トンカマメ

パフューマー|ゲザ・ショーエン

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燃えるような赤と内に秘めた神秘
Houbigant|アンブル リュビー

Houbigant アンブル リュビー

燃えるような赤と内に秘めた神秘。伝説の宮殿に眠るルビー。活力、勇気、繁栄を象徴する「宝石の王」。古代に火の力を宿すと信じられたその輝きを、アンバーと果実、パウダリーな甘さが包む。時を超える香りの宝箱。

トップ|ブラッドオレンジ、ピンクペッパー、インセンス
ボディ|チェリー、ラム、ジャスミン
ベース|アンバー、ファーバルサム、シダーウッド、ウッディノート

パフューマー|ルカ・マッフェイ、アントワン・リー

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② Nostalgic Musk(ノスタルジック ムスク)

コロナ禍を経て、世界的に需要が高まったムスク。ノスタルジックで柔らかく、心地の良いムスクの香りが引き続き人気。肌馴染みがよく、かつ持続する香りを作るためにムスクが活用されるケースも増加。

NOTE|アンブレットシード、ホワイトムスクアコード、ヘルヴェトライド、ウッディムスクアコード、カシュメラン etc

宇宙空間を彷彿させる
Nomenclature|アデレット

Nomenclature アデレット

ヘルヴェトライドが宇宙の香り、柔らかな包まれ感、重力ゼロの静寂を表す。ピンクペッパーの彗星、冷たく金属的なアイリス、バニラ、トンカ豆、アンバーグリスの星雲。洗練された要素が宇宙空間を彷彿させる。

NOTE|ヘルヴェトライド®︎、ムスク、ピンクペッパー、アイリス、アンバーグリス、バニラ、トンカマメ

パフューマー|フランク・フォルクル

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羽のような軽さで忍び寄る誘惑
Fugazzi|エンジェルダスト

Fugazzi エンジェルダスト

90年代の禁断の魅力、羽のような軽さで忍び寄る誘惑。カシュメランの静かな自信、ベルガモットの輝き、カシミアの温もり。アンバーが紡ぐ安らぎの中に潜む、中毒性のある官能。内なる魅力を引き出す魔法。

NOTE|カシュメラン、ベルガモット(カラブリア産) ペッパー 、カシミア、ホワイトアンバークリスタル

パフューマー|ブラム

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③ Neo Gourmand(ネオ グルマン)

従来のヨーロッパのお菓子をベースにした明快な甘さではなく、アジアの菓子からインスピレーションを得た香りや、エキゾチックなフルーツ、“抹茶”を使用した香りなど、新しいグルマンが登場。

NOTE|セサミ、ドライフルーツ、バスマティ米、パンダンリーフ、ナッツ、抹茶、ココナッツ、シリアル・ペイストリーアコード、ミルクアコード etc

儚さの中に宿る美を表現
Baruti|モノノアワレ

Baruti モノノアワレ

儚さの中に宿る美を表現した香り。ナッティな抹茶と透明感ある桜が織りなす日本の美学。物事の無常を悟り、それを愛でる「もののあはれ」の精神を纏う、哲学的で洗練されたフレグランス。

トップ|サクラ、抹茶
ボディ|ヒバ
ベース|ムスク

パフューマー|スピロス・ドロソプロス

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愛する人と食べたアプリコットのスイーツの思い出
Sora Dora|イロップ

Sora Dora イロップ(恋の情事)

恋の情事。愛する人と食べたアプリコットのスイーツの思い出。ティーとオスマンサスのベルベットのような柔らかさと肌の官能性のエコー。素肌から立ち上る香りのよう。ポリアモラスな肌への優しい愛撫。

NOTE|アプリコットロティ、アップル、ティー、オスマンサス(Abs)、ローズマリーエッセンス、アーモンド、ブラックセサミエクストラクト(CO2)、ブラックバニラ(Abs)、ベチバーエッセンス(ハイチ産)

パフューマー|アメリ・ブルジョワ

④ In the Boscage(イン ザ ボスケージ)

「boscage」とは「森、木立ち」の意味。コロナ禍を経てグリーン系が人気を伸ばしたことをきっかけに、現在は、森の “地面” を連想させるアーシーな香りが増加。ガーデニングや野菜に関連する香りも登場。

NOTE|モス、ペトリコール、アーシーノート、ビーツ、マッシュルーム、緑の葉 etc

悠久の時を生きる松
Stora Skuggan|パイン

 

Stora Skuggan パイン

悠久の時を生きる松の香り、その壮大なエッセンスを凝縮。新芽のフレッシュさ、甘美な樹脂、乾いた木肌、森を覆う枯葉まで。恐竜よりも古く、地球上で長く静かに息づく生命の記憶。PINE、それはただ、松。

トップ|パイン、パイン
ボディ|パイン、パイン、パイン、パイン
ベース|パイン、パイン、パイン、パイン、パイン、パイン、パイン、パイン

パフューマー|トマス・ヘンペル

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癒しの嗅覚的つながりを探る
Cra-Yon|ザ ダスク デイズ

Cra-Yon ザ ダスク デイズ

ウェルビーイングや自信、インスピレーションへと導く内省的な香りの旅。トマトリーフとジンジャーの活気に満ちたオープニングから、パロサントの穏やかなエンディングへ。癒しの嗅覚的つながりを探る香り。

トップ|ベルガモット、グレープフルーツ、トマトリーフ、ブラックペッパー、ジンジャー
ボディ|カンナビス、ゼラニウム、サフラン
ベース|ソフトウッド、パチョリ、アンバー、ベチバー、モス、パロサント

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ニッチフレグランスで進化する、香りの表現と戦略

人気作のエキストレバーションが登場

既存のヒット作を再構築した、香料の濃度が高い「エキストレ」バーションが多数登場。その他、香りが揮発しやすいことからこれまで製造が難しいとされてきた「柑橘」のエキストレバージョンも多く登場し、技術革新から進歩が目覚ましい注目トピックに。

TikTok世代に向けたクイックで詩的なストーリーのあるアプローチ

デジタルネイティブなTikTok世代を意識した、短い時間でエモーショナルなストーリーを伝えるアプローチが重要に。また、かつてファッションやスニーカーの限定品といったアイテムに3万円〜5万円を使っていた若者たちが「香水」へ投資先をシフトする傾向も見られるように。

アンバサダーを起用した広告やマーケティング

ニッチフレグランスが勢力を拡大するなかで、ブランド自体が成長し規模が大きくなった「ニッチラグジュアリー」や「メガニッチ」と呼ばれるブランドが業界を牽引。インフルエンサーを起用した広告など、ファッションフレグランスでしか見られなかったマーケティング手法を取り入れるように。

プロが注目するトピック

調香師/香水ジャーナリスト 稲葉智夫氏 's トピック

コロナ禍から解放され、南国のリゾート地を思わせるトロピカルフルーツや、アロマティック系をはじめとする香水に多く見られたパインウッドの活用。その他、既に多くの人を魅了し一大ブームを築いたチェリーやティーをアレンジした香水が多数。チェリーは、シャンパンとの掛け合わせにも注目。

香調トレンド

  • ・トロピカルフルーツ
  • ・パインウッド
  • ・チェリー
  • ・ティー × レザー

トロピカルフルーツ

Neela Vermeire ボンベイ ブリング(コンテンポラリー・インド)

経済大国の象徴。モダンでカラフル、幸せな空気を体現。ボンベイの株式市場やムンバイの賭博場で、幸運は盛衰を繰り返す。ナイトライフに身を任せる享楽に匹敵するものはない。活気あふれる新たなインドへようこそ。

トップ|マンゴー、ライチ、ブラックカラント、カルダモン、クミン
ボディ|ローズ(トルコ産)、ジャスミンサンバック(Abs)、イランイラン(マダガスカル産)、チュベローズ、フランジパニ、ガーデニア
ベース|パチョリ、タバコ、サンダルウッド、シダー、バニラ

パフューマー|ベルトラン・ドゥショフール

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チェリー × シャンパン

Thoo ギルティ クラッシュ

反逆のドレスに身を包み、すべてが許される宇宙へと私達を誘う。まごうことなきリップスティックの香りを再現した愛らしい香り。身に纏えば魅力と自信に溢れ、欲望と本能を追求し、悔いなく感情を生きる自由の境地。

トップ|シャンパン、ブラックチェリー、ワイルドストロベリー
ボディ|ローズ、リップスティック アコード、ジャスミン
ベース|バニラ、シダーウッド、ベンゾイン、クリーミームスク

パフューマー|クリスチャン・カラブロ

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ティー × レザー

Zoologist キング コブラ(キングコブラ)

インドの森の奥深くに潜む冷酷な支配者。獲物を逃した蛇の背後に、突如迫る巨大な影。もたげた鎌首に広がる頚部。蛇は獲物となり、牙から注がれる毒が心臓を止め、肉を溶かしていく。逃げ場なき森の王の戴冠。

トップ|プチグレイン、マンダリン、フィグリーフ、カンファー、ザボン、ガンジャアコード
ボディ|ブラックティー、クミン、レザー、ソイルアコード
ベース|インセンス、アンバー、モス、パチョリ、ベチバー

パフューマー|プリン・ロムロス

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NOSE SHOP代表 中森友喜 's トピック

アジアブランドが増加し、韓国、中東ブランドの台頭が著しい。その他、これまでニッチフレグランスの構成要素としてきた「香り」「ビジュアル」「ストーリー」に加え、店舗やブースのデザイン、路面店のオープンなど、「空間」への投資がブランド成長のキーになっていると分析。

  • ・アジアブランドの増加
  • ・「空間」への投資

アジアブランドの成長:韓国発のブランド「Borntostandout」

「空間」への投資:パリ サントノレ通りに旗艦店オープン「Bdk Parfums」

「空間」への投資:内装やVMDへの投資「Goldfield & Banks」

稲葉智夫氏より皆さんへメッセージ

  • 広く知られているシャネルの言葉に、
  • “A woman who doesn't wear perfume has no future”(香水を使わない女性に未来はない)というものがあります。
  • ところがフランス語の原意では「香水の使い方が下手な女性に未来はない」とも取れます。
  • 90年代、自然派に導かれた「無香・消臭」文化の流れがありましたが、それに対抗するように香りの強い柔軟剤文化が広がった時期もありました。
  • 現在はその柔軟剤文化の終焉が見えつつあります。
  • ではこれからの“香りの未来”はどうあるべきか。
  • シャネルの真意は「香りをうまく使いこなすこと」。
  • 無香・消臭も、柔軟剤も否定せず、それぞれの用途で調和させていくこと。
  • たとえば、タオルやシーツには柔軟剤、衣類は無香、仕上げに香水を使う——。
  • バランスの取れた香りの取り入れ方を社会に提言し、
  • 香りを“使いこなす時代”を築くことが、私たちフレグランス業界の次なる使命だと考えます。


Esxence(エクサンス)2025

イタリア・ミラノにて 2009年から年に一度* 開催されている世界最大級のニッチフレグランスの展示会。今年は2025.02.19〜02.22にて実施。世界中から382ブランドが集結した。                                                    * コロナ禍の2年間を除く

稲葉 智夫 / 調香師、フレグランスジャーナリスト

ニッチフレグランスマーケットを熟知した調香師。 2003年よりフレグランスのポータルサイト”Profice”を運営、7,000を超える種類のフレグランスレビューを執筆する。ブランド「Zoologist(ズーロジスト)」では「モス」と「ナイチンゲール」の調香を手がけ、辛口香水評論家のルカ・トゥリンによる著書『世界香水ガイド』にてその調香技術に「天与の才がある」として、国内外から賞賛を受けた。

中森 友喜 / NOSE SHOP 代表

日本初のニッチフレグランス専門店「NOSE SHOP(ノーズショップ)」の代表取締役。国税局で国税調査官として勤務後、ファッションイベントの立ち上げや、アパレルブランドのCEOとして活躍するなど、異色の経歴を持つ。2017年8月にNOSE SHOPをオープン。オープン当初から現在まで、取り扱う約1,150種類以上の香水のセレクトと、ストーリーの翻訳を手掛け、その取扱品種の幅広さと翻訳の量は日本随一を誇る。NOSE SHOPが運営するポッドキャスト番組「香りと言葉のラジオ『NOSE knows』」でパーソナリティを務めるほか、雑誌、WEBメディア、新聞、ラジオなど数々のメディアにてニッチフレグランスを中心とした香水市場の動向をナビゲート。さらに、フレグランスにまつわるアワードにて審査員を務めるなど、日本における香水市場の拡大を目指して多岐にわたって活動している。

おわりに

2025年のニッチフレグランスのトレンドと日本の香水使用率調査の結果をご紹介しました。日本でのフレグランス市場はまだまだこれから。NOSE SHOPはこれからも香りの楽しさを一人でも多くの人に知ってもらえるよう進んでいきます。これからもぜひご期待ください!

また、NOSE SHOPのポッドキャスト番組「NOSE knows」では、パーソナリティを務める代表の中森が現地へ足を運んだ後日レポートも配信中!ぜひこちらもチェックしてくださいね。