香料シリーズ【グレープフルーツ】の回

こんにちは、浦野です。
最近は夏日の日も増えてきて、既に梅雨入りした地域もありますね。
やってきました、ジメジメ到来!!
そうなってくると、みずみずしくて爽やかなフルーツ食べたくなりませんか?
先日TVのニュースで最近、若い人がグレープフルーツを見ても、それがグレープフルーツかどうか分からない人が増えてると放送していて、目玉が飛び出そうになりました!確かに最近スーパーで昔よりグレープフルーツのコーナー小さくなったような?いや、でも…みんな食べないのかな?
そんな疑問は置いておいて…
香水の香料にもグレープフルーツは使われています。だいたい、レモンやオレンジと一緒に使用され、柑橘系の香りと総称されますね。今回の香料シリーズ(香水に使われている香料を軸として、香水に魅力をお届けしています)は【グレープフルーツ】です。
さっそくいってみましょう!

グレープフルーツの香料はどうやって採取するの?

まず「グレープフルーツ」の名前ですが、ブドウの房のように果実をつけるので柑橘系なのに「グレープ」と名前が付いているそうです。そして、グレープフルーツの学名には「楽園の柑橘類」という意味があり、楽園に居るかのような明るい陽気な気分にさせてくれるフレッシュな香りから由来してます。そして、グレープフルーツ、レモン、オレンジ、ベルガモットなどの柑橘系が主体のフレッシュな香りの事を総称して「シトラス」の調香と呼びます。

これらの香りは果皮を圧搾して精油を取り出したりします。イメージはジュースを作るみたいに(果肉ではなく果皮を)圧着して絞り出す感じです。また、インライン法という精油と果汁を同時に採取でき、大規模に香りが劣化しないように抽出することができるような方法も多く用いられています。しかし、グレープフルーツの精油は果皮の深い部分に含まれているため、他の柑橘類よりも圧搾して採れる精油の量が少ないそうです。
NOSE SHOPで取り扱っている香水の中で「グレープフルーツ」の香りを感じるのはこちら。

LIQUIDES IMAGINAIRES/ドムローザ

“ドムローザ”はドンペリの“ドン”から由来しているそう。そう、シャンパンのイメージの香り。あのシュワシュワした泡はグラスの中でキラキラ揺れ…でも、その泡はいずれ消えてなくなる。今という時間も二度と戻ってこないから、今この瞬間を楽しもう。そんな想いを香りに落とし込んでいる香水です。シャンパンとローズの甘美な香り。これを引き立たせているのが、グレープフルーツの苦味だと思います。この苦味があるから、よりシュワシュワした泡のイメージになって甘すぎず纏いやすい香りになります。もちろんグローブやウッド要素も入ることで、スモーキーになり深みがでると思うのですが。
この香り、NOSE SHOPで働き出した時、2019/04/24のTwitterで私は、こんな風に表現していました。

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今夜は帰りたくない。
甘美なシャンパンの泡に、ローズと言う名の感情は飲み込まれ、少しだけ残っていたグレープフルーツの理性も飛んだ。そして、スモークの香りと共に男と女は夜の街に消えて行った。あの人とはそれきりだった。
瞬間の甘美。
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この時の私にはとてもセクシーな香りに映っていました。でも、今はとても切ない香りに思えます。今はこの香りのイメージが【人魚姫の最後】に思えるんです。リトルマーメイドのアリエルじゃないよ、童話人魚姫のラスト。人魚姫は愛する王子を殺すことと彼の幸福を壊すことができずに死を選び、海に身を投げて泡に姿を変えてしまう。彼女の切ない恋心とグレープフルーツの苦味が私の中で重なってしまうんです。
でも、この話の続きは、彼女はそのまま消えてしまったわけではなく風の精(空気の精霊)に生まれ変わり泡の中からどんどん空に浮かび上がっていったそうで…泡がキラキラ揺れて浮かぶ…やっぱりこの香水にピッタリだなと思うわけです!笑
NOTE:
シャンパンアコード・グレープフルーツ・ペア・ダークローズ・クローブ・インセンス・ウッディアコード・シダーウッド・ガイアックウッド

NICOLAI/ラノスタルジー

フランスの香水・化粧品ブランドGUERLAINの姪っ子が手がけるニッチフレグランスメゾンNICOLAI(ニコライ)は、華やかでクラシックな香りが得意なブランドです。その中で“ ラノスタルジー”の香りはフローラルとシトラスの香りが重なるライトシトラスの香りで、爽やか過ぎず上品さも兼ね備えています。
纏いたてにスッキリする、ベルガモットとグレープフルーツが感じられ次にライラック、ローズ、ジャスミン、インライランの花々と混ざり合い、最後はホワイトムスクが優しく香ります。

フローラルの香りの奥に消えずに、グレープフルーツの香りを感じられるのでカジュアルさと上品さの両方を合わせもつ香水です。私の鼻感では、グレープフルーツの苦味の部分を纏いたてより、ミドルノート辺りで感じられました。この少しの苦味が花々の香りを全面に押し出し過ぎないのかもしれません。

朝、仕事に行くために家を出る時、ベルガモットとグレープフルーツ香りが爽やかな気分にさせてくれて、会社に着いて仕事をする頃にお花の香りと混ざり合って華やかに香ってくれるはずです。香りの濃度は、オーフレッシュと言い、ニコライ独自の香りの濃度でだいたいオードトワレくらい香りの持続時間は3~4時間位になっています。香りの持続時間が長すぎない点も、仕事の時に使いやすい香水です。

NOTE:
トップ|ベルガモット、グレープフルーツ、マンダリン
ボディ|ライラック、ジャスミン、ローズ、イランエッセンス、マイソール サンダルウッド
ベース|ホワイトムスク、ヴァニラ、ベンゾインレジノイド

NISHANE/コロニゼ

トルコのフレグランスブランドNISHANE(ニシャネ)の“コロニゼ”の香水は、トルコ独特の文化「コロンヤ」にオマージュした香水です。「コロンヤ」とはアルコールに香料(たいていレモンの香り)が入った、いわゆる「オーデコロン」を大切なお客様(ゲスト)に飲み物やお菓子を出すのと同じ感覚で「レモン・コロンヤ」をバシャバシャとふりかけるトルコ伝統のおもてなし文化です。
はるか昔、オスマントルコ帝国時代からトルコ人の生活の中で親しまれてきた文化で、例えばレストランで食事を終えた後は、ウェイターが小瓶に入った「レモン・コロンヤ」をお客様の手のひらにパシャパシャとかけてくれます。コロンヤはアルコール度数が高いためスッとしていてかなりの清涼感。これを手にもみこんだり、頬や首筋につけてその香りや爽快感を楽しんだりするのが習慣なんだそうです。

そもそも、良く耳にする“オーデコロン”ですがナポレオン時代、ドイツのケルン(コローニュ)で売り出された薄目の香水がその起源だそうです。「オーデ」はフランス語で「水の」いう意味なので、オーデコロンは「ケルンの水」と言う意味になります。それくらい、パシャパシャ使えるアイテムなんですが、この“コロニゼ”の濃度はエキストレド・コロンと言い、通常のコロンよりより良質な香料を使い濃度も高めになっています。レモンやグレープフルーツの柑橘の魅力に、少しだけジャスミンやスズランが彩りを添え、最後のベチバーがどっしりとウッディの香りを放ちます。花の香りは強く出過ぎないユニセックスな香り立ちです。

NOTE:
トップ|レモン、グリーンティー、ジャスミン
ボディ|グレープフルーツ、スズラン
ベース|ベチバー、ネロリ、ムスク

最後に余談。新型コロナウイルスの影響でコロンヤが爆発的な人気だそう。
そんなわけで、香料シリーズ【グレープフルーツ】の回、完結です。人魚姫のくだり、共感してださる方いるといいなぁ。