連載【私の鼻】ビューティライターAYANAさん 〜 #01 人と香りの関係性 ~
各界で活躍する目利きのプロフェッショナルたちに、フレグランスの選び方、香りが好きな理由を聞く本連載。世界18ヵ国のニッチフレグランスが揃うNOSE SHOPとの接点を探りながら、人と香りの関係性を紐解いていきます。第1回は、美容や化粧品を独自の感性で言語化し発信しているAYANAさんにインタビュー。
選ぶポイントは、香料、ヴィジュアル、面白さ
― AYANAさんはどんな香りが好きですか?
すごく好きな香調や香料があって、選ぶ香りの傾向は決まっています。その時々のマイブームみたいなものはあるのですが、はたから見るとAYANAさんはいつも同じ香りをつけているね、となっているかもしれません。
― では、好きな香料は?
パチョリ、カルダモン、ブラックペッパー、ダマスクローズ。フランキンセンス、アンバーなどの樹脂系。土っぽい香り、香木っぽい香り、スパイスの系統がすごく好きです。
― どんな時に香りをまといますか? その日のメンタル、シーンなどで変えたりしますか?
― 自分ではつけないけど、美しいと感じる香りはありますか?例えば空間の香りや、AYANAさんが美しいと思う人がまとっている香りのイメージなど。
私は香りという世界全体が好きなので、自分が身につけたいと思う香り以外に対しても魅力を感じます。音楽とちょっと似ているかもしれません。例えばK-POPだったら、私が好きなのはこのアイドルだけど、K-POP全体ではいろんな人がいて、それぞれの魅力がある。このアーティストはこういう人たちに好かれるんだなというのを知るのも楽しいという、そんな感じです。
空間でいうと、最近気づいたことがあります。フレグランスでピンときていなかった香りでも、キャンドルだとすごくいいとか。ハンドクリームなら、軽やかなフローラルの香りも意外と楽しめるぞとか。
― 好きな香料が入っていることは、香りを選ぶ時の決め手になりますか?
そうですね。この香りと香りを組み合わせるんだ!とか、意外性があるものにも弱いです。ちょっと不思議だったり、凝ったパッケージのものをジャケ買いしてしまうこともあります。私が気に入っているひとつにOrto Parisi(オルト パリージ)の「メガマーレ」という、ものすごく変わっていてパンチの効いた香りがあるんですけど、お菓子みたいにパカっと開けるパッケージも面白いです。
Orto Parisi メガマーレ | 海(パルファム)。「嗅いだことがない香りに衝撃を受けて購入。すごく暗くて、荒れ狂う日本海のよう。夜だけつけたり、何かに吹きかけて空間を香らせたりしています」50ml 27,500円
― 最近、ハッと惹かれた香料の組み合わせはありますか?
薬草をテーマにしたStora Skuggan(ストラ スクガン)の「シルフィム」。トップには “シルフィム・アコード” というのが含まれているんですけど、まずこれが何なのかわからない(笑)。独自のブレンドをしているところに興味を掻き立てられます。「ディスカバリーセット」をNOSE SHOPで購入したのですが、5種類すべて良かったです。その中で、ブラックペッパーやフランキンセンスなど私の好きな要素が一番多く含まれている「シルフィム」を現品購入しました。 Stora Skugganは一番新しく好きになったブランドです。
― ボトルデザインもオブジェっぽくて個性的ですね。
NOSE SHOPはそういう商品が多いですよね。見た目で選ぶのも楽しい。このStora Skugganはコンセプトが面白くて、ヴィジュアルも良くて、ネーミングもいい。「ムーンミルク」(月のミルク)という名前の、これまたいい香りがあるんですけど、まさにムーンミルクっていう感じの香りでぴったり。
Stora Skuggan シルフィム | 絶滅した薬草(オードパルファム)。その昔、最も価値あるスパイスとして栄華を誇った古代植物を現代に再現。30ml 24,200円
― フレグランスの産地はフランスやイタリアが中心ですが、NOSE SHOPには世界各国ニッチなエリアから来ている香りが多数あります。例えばAYANAさんが以前Instagramでも紹介くださってたNishane(ニシャネ)の「ウーロンチャ」はトルコだったり。
なるほどトルコ。だからこんなにエキゾチックなんですね。「ウーロンチャ」は私の好きな香りの世界と全然違うんです。でもとっても好き。どのように言語化したらいいのかという感じなんですけど、とにかく嗅いでいて幸せになります。ニッチなエリアといえば最近、日本のフレグランスも増えてきていますよね。
Nishane ウーロンチャ | 烏龍茶(エキストレド パルファム)「入っているノートで私が好きなのはナツメグくらいなのに、すごくいい。柑橘っぽさもあり、いろんな方に好まれそう」50ml 25,300円
AYANAさんにおすすめの新しい香り
Selected by NOSE SHOP
(左から)KO-GU オードパルファム ブラックティー 20ml 4,180円、同 ハンドクリーム モス 45g 2,420円、Goldfield & Banks パープル スエード 100ml 35,200円
― 今回、NOSE SHOPからAYANAさんにオススメの香りをお届けです。オーストラリア発のGoldfield & Banks(ゴールドフィールド アンド バンクス)の「パープル スエード」。いかがでしょうか?
あ、めちゃくちゃ好きです!
― ベースにパチョリと、湿った土を思わせるカルダモン、スパイスはピンクペッパーということで、まさにAYANAさん好みの系統かと思います。名前の「パープル」は、ラベンダー畑のイメージからきてるんです。
ラベンダーなんですね!香りとしてのラベンダーは、自分で選ぶ時になぜか避けてしまうところがあるのですが……これはドライな感じがいいのかもしれないです。ドレスコードも問わない印象。これから春先にかけても使えそう。
― 日本生まれの香りとして、昨年NOSE SHOPがプロデュースしたオリジナルブランドKO-GU(コーグ)があります。AYANAさんへのおすすめをセレクトさせていただきました。まずオードパルファムの「ブラックティー」。
どちらかというとフローラルを感じます。ベルガモットのような柑橘系もトップに香ります。いろんな方に好かれそうという意味で、Nishaneの「ウーロンチャ」っぽい良さがありますね。
なにこの香り!「モス」すごく好きです。食べ物っぽい安心な香りがする。あ、天然香料で作っているんですね。香りが軽いから、シーンを問わなそう。
天然香料を主体とした高品質な日本製ブランドKO-GUは、NOSE SHOP初のオリジナルブランド。道具のように自由に香りを楽しんでほしいという基本のキに立ち返ったコンセプトで、様々なレイヤリングが自由に楽しめるラインアップ。(左から)オードパルファム(全33種)各20ml 各4,180円、ハンドクリーム(全6種)各45g 各2,420円
― AYANAさんはショップで新しい香りを見つけたい時、店員さんに相談することはありますか?その時、どんなキーワードで相談しますか?
私の場合、やはり自分の好きなゾーンが大体決まっちゃっているので、ウェブで買うことが多いです。ショップに行って話すとしたら「こういう香りが好きな私にオススメの、意外性のあるものってありますか?」とか「ブランドとして面白いのはありますか?」などでしょうか。
ちなみにショップはあまり行かないといいましたが、NOSE SHOPは例外的に実際に足を運ぶことが楽しみな場所のひとつかもしれません。一般的なフレグランスのショップだと私が好きな香りのゾーンは2%くらいしかないのですが(笑)、NOSE SHOPはそうじゃない。意外性があって、面白くて、未知のブランドがたくさん揃っています。今日も新しい香りに出会えて嬉しいです。
今気になっているブランドVyrao
Vyrao ジョーゼット(オードパルファム)。トップはターキッシュローズ、ボディにサンダルウッドとパチュリ。「全然ローズって感じじゃない。複雑さもなくて、軽く使える香りです」50ml 26,400円
まず、ブランドに興味を持ちました。ロンドンのファッションコンサルタント(ヤスミン・スウェル)が創業したブランドで、ヴィジュアルイメージのセンスも良い。ボトルのなかに、パワーストーンが入っているんです。スピリチュアルな感じもあって、バランスがいいなと思います。全部の香りを試してみて、一番自分の好みと思って買ったのが「ジョーゼット」。基本的に重い香りが好きなのですが、これはすごく軽やかで、気張らずにつけられます。
このVyrao(バイラオ)から発売された新作の「ザ・シクス」が気になっていて、今日初めて試させていただきました。いいですね!オイルの香りが多く入っていますね、つける人の肌に合わせて香りが変わるのかな。これは買いです。
AYANAさん愛用の香り。「右の2つは、私にとって意外性のある変化球の香り。左の2つは好きな香りのど真ん中。中央の「ザ・シクス」は新入り決定。Vyrao ザ・シクス(オードパルファム)50ml 30,800円
PROFILE:
AYANA(ビューティライター)
コラム、エッセイ、インタビュー、ブランドカタログなど広く執筆。化粧品メーカー企画開発職の経験を活かし、ブランディングや商品開発にも関わる。2021年、エッセイ集『「美しい」のものさし』(双葉社)を上梓。文章講座EMOTIONAL WRITING METHOD(#エモ文)主宰、OSAJI メイクアップコレクションディレクター。
Instagram:@tw0lipswithfang
www.emotionalwritingmethod.com
photo|Shota Yokokura
interview・text|Miwa Goroku
NOSE SHOPのYoutubeアカウントでは、インタビューの様子を動画でも公開中!リンクはこちら