2021年 7月 23日
名前のない関係 BDK Parfums|グリ シャーネル
ノーズショップの香りは一つ一つのバックグラウンドがあり、新しい学びや思わずへぇ〜と言ってしまうような面白い発見をすることも少なくありません。
そこでノーズショップの1つの香りをピックアップし、香りについてディグ(深堀り)ってみるこのシリーズ。 今回は、BDK Parfums(ビーディーケー パルファム)の中でも特に人気な香りのグリ シャーネル(銀色の情欲)についてをディグってみたいと思います!
前回はこちら
それではまずBDK Parfumsについてご紹介。
このブランドが掲げることは最高の天然原料を使用すること。
そのキャラクターの個性や動き、そのシルエットにインスパイアされた香水を作り上げることです。
創業者のデイヴィッド・ベネデックは良質な香水はそれらひとつひとつが物語を語りだすといい、出来上がった香水に物語を付与するというスタイルをとっています。
現在日本でラインナップにあるコレクションは合計で3つ。
パリジェンヌの1日を描写する、パリジェンヌ コレクション。
1つの香料に着目し、それを引き立てるマテリアル コレクション。
そしてサマーフレグランスラインのアズール コレクション。
この3つのコレクションラインで構成されています。
創業者のデイヴィッド・ベネデックは香水業界のサラブレット。
パリで香水の販売業を営む家族のもとに生まれました。そんな彼は大学でファッションと香水ビジネスについて学んだ後、香料会社最大手のジボダン社で天然香料について研鑽を積み、27歳でブランドを立ち上げます。
Bdk Parfumsの名前の由来は彼のベネデックと言う名前の母音をとって名づけられました。現在創業8年目ですが、ノーズショップを始め、英国、ハロッズなど世界44か国で取り扱いのある、大きなブランドへ成長しています。
トップ|フィグ、ブラックティ、カルダモンエッセンス
ボディ|アイリスアブソリュート、バーボンベチバー
ベース|サンダルウッド(インド産)、トンカマメアブソリュート
調香師:マチルデ・ビジャウイ
取り扱い店舗:新宿店、銀座店、池袋店、大阪店、横浜店、オンライン
2019年リリースでパリジェンヌの一日から着想を得たコレクションライン、パリジェンヌコレクションの中の一本。このラインでは最新の作品です。
実はこれまで僕はこの香りが複雑すぎると感じ、その全体像がよくわかっていませんでした。
イチジクの香りも、紅茶も、トンカビーンも全てきれいに混ざって、「なんだかわからないけどミステリアスないい香り」が、第一印象でした。
ですが、このブログのために3日間この香りと向き合ってみると、その香りの全体像がやっと見えてきました。
一言で言うなら、「アンニュイな甘い香り」。
トップを構成しているカルダモンのキーンと爽やかな香りにフィグやサンダルウッドの独特のまろやかさ。終わりはトンカビーンがコクのある甘さを出しています。
僕の個人的な感覚だとなんだかフランクオーシャンの楽曲”solo”が似合うようなアンニュイな雰囲気です。
香水つけてます!と主張するような形ではなく、あくまで肌のそばでゆったりと香る、素敵な香水でした。
ティノロッシ庭園は川岸に大きな広場があり、そこではヨガやダンスパーティが開かれているそうです。
デイヴィットはそこで出会った男女が出会って一晩を過ごす姿がこの香りから見えていたのですね。
お客さまにこの香りをご紹介するとよく「なんだかエロい香りがする。」という感想をいただくことが多いのですが、まさにそんな光景をギュッと閉じ込めた物語が見える香りでした。
南仏グラースを拠点にする香料会社、マネ所属の調香師です。
彼女はジョーマローンでの作品が有名で、「ミルラ&トンカ」や「ジャスミン サンバック&マリーゴールド」などを作ったほか、ノーズショップでは同じくBDK Parfumsの「ウードアブラマド」とEtat Libre D’Orangeの「ライクディス」や「ビジューロモンティック」を手掛けています。
そんな彼女の「グリ シャーネル」への思いをBDK ParfumsのInstagramアカウント内、IGTVの語りから引用してみたいと思います。
香水のタイトルにグリ(グレー)の名前がついていますが、それを黒と白のコントラストで作ることで意識していることに驚きました。
確かに改めて嗅いでみるとコクのあるトンカの甘さを引き立てるように様々なスパイスが立ち、まろやかさをフィグとサンダルウッド、ベチバーで。その2つのパートが入り混じって、よりモダンな香りに昇華されているように感じました。
ちなみにトンカビーンについてはこちらの記事をどうぞ。
また、先日のイカとは違って一つのお気に入りの香料から香りを作り出すアプローチもブランドごとに違ってユニークですし、その香りが生き生きと物語を作り上げ、私たちもその感性を共有できるほどに作り込まれていることに驚きました。
このほかにもBDK Parfumsには物語を語りだす香りがたくさん存在します。
香りが紡ぐパリの物語を読むように体験してみてはいかがでしょうか。
BDK Parfums, "Project,BDK Parfums",2016 (Retrieved,April 10 2021, https://bdkparfums.com/eu_en/project)
Fragrantica, Discovery: The New French House Bdk Paris,July 4 2016 (Retrieved 2021 April 10 2021, https://www.fragrantica.com/news/Discovery-The-New-French-House-Bdk-Paris-8214.html)
Fragrantica, Interview with perfumers: Mathilde Bijaoui and Christine Nagel,June 19,2012 (Retrieved April 10 2021, https://www.fragrantica.com/news/Interview-with-perfumers-Mathilde-Bijaoui-and-Christine-Nagel-3279.html)
BDK Parfumes Instagram IGTV, Les Rendez-Vous BDK,Mathilde Bijaoui,February 3 2021 (Retrieved march 10 2021, https://www.instagram.com/tv/CKzFUOrhUGo/?utm_medium=copy_link)
CNN Business,Dance with Native, How to Enjoy Paris like Local, October 2 2017, (Retrieved May 7 2021, https://money.cnn.com/gallery/luxury/2017/10/02/paris-like-a-local/12.html)
そこでノーズショップの1つの香りをピックアップし、香りについてディグ(深堀り)ってみるこのシリーズ。 今回は、BDK Parfums(ビーディーケー パルファム)の中でも特に人気な香りのグリ シャーネル(銀色の情欲)についてをディグってみたいと思います!
前回はこちら
それではまずBDK Parfumsについてご紹介。
BDK Parfumsってどんなブランド?
BDK Parfums(ビーディーケー パルファム)はパリで2014年に生まれたブランド。このブランドが掲げることは最高の天然原料を使用すること。
そのキャラクターの個性や動き、そのシルエットにインスパイアされた香水を作り上げることです。
創業者のデイヴィッド・ベネデックは良質な香水はそれらひとつひとつが物語を語りだすといい、出来上がった香水に物語を付与するというスタイルをとっています。
現在日本でラインナップにあるコレクションは合計で3つ。
パリジェンヌの1日を描写する、パリジェンヌ コレクション。
1つの香料に着目し、それを引き立てるマテリアル コレクション。
そしてサマーフレグランスラインのアズール コレクション。
この3つのコレクションラインで構成されています。
創業者のデイヴィッド・ベネデックは香水業界のサラブレット。
パリで香水の販売業を営む家族のもとに生まれました。そんな彼は大学でファッションと香水ビジネスについて学んだ後、香料会社最大手のジボダン社で天然香料について研鑽を積み、27歳でブランドを立ち上げます。
Bdk Parfumsの名前の由来は彼のベネデックと言う名前の母音をとって名づけられました。現在創業8年目ですが、ノーズショップを始め、英国、ハロッズなど世界44か国で取り扱いのある、大きなブランドへ成長しています。
BDK Parfums|グリ シャーネル(銀色の情欲)
NOTE:トップ|フィグ、ブラックティ、カルダモンエッセンス
ボディ|アイリスアブソリュート、バーボンベチバー
ベース|サンダルウッド(インド産)、トンカマメアブソリュート
調香師:マチルデ・ビジャウイ
取り扱い店舗:新宿店、銀座店、池袋店、大阪店、横浜店、オンライン
2019年リリースでパリジェンヌの一日から着想を得たコレクションライン、パリジェンヌコレクションの中の一本。このラインでは最新の作品です。
実はこれまで僕はこの香りが複雑すぎると感じ、その全体像がよくわかっていませんでした。
イチジクの香りも、紅茶も、トンカビーンも全てきれいに混ざって、「なんだかわからないけどミステリアスないい香り」が、第一印象でした。
ですが、このブログのために3日間この香りと向き合ってみると、その香りの全体像がやっと見えてきました。
一言で言うなら、「アンニュイな甘い香り」。
トップを構成しているカルダモンのキーンと爽やかな香りにフィグやサンダルウッドの独特のまろやかさ。終わりはトンカビーンがコクのある甘さを出しています。
僕の個人的な感覚だとなんだかフランクオーシャンの楽曲”solo”が似合うようなアンニュイな雰囲気です。
香水つけてます!と主張するような形ではなく、あくまで肌のそばでゆったりと香る、素敵な香水でした。
グリ シャーネルのストーリー
では、この香りのストーリーを見てみましょう。セーヌ左岸のティノ・ロッシ庭園。夜に集うダンサーたち。
銀色の月と船明かりに照らされた体が音楽のリズムと混ざり合う。夏の暑さが二人の男女を喧騒から連れ出し、翌朝のシーツが眠れぬ夜の香りを放つ。
ティノロッシ庭園は川岸に大きな広場があり、そこではヨガやダンスパーティが開かれているそうです。
デイヴィットはそこで出会った男女が出会って一晩を過ごす姿がこの香りから見えていたのですね。
お客さまにこの香りをご紹介するとよく「なんだかエロい香りがする。」という感想をいただくことが多いのですが、まさにそんな光景をギュッと閉じ込めた物語が見える香りでした。
調香師の声を聞いてみよう
この香りを作ったのは、マチルデ・ビジャウイさん。南仏グラースを拠点にする香料会社、マネ所属の調香師です。
彼女はジョーマローンでの作品が有名で、「ミルラ&トンカ」や「ジャスミン サンバック&マリーゴールド」などを作ったほか、ノーズショップでは同じくBDK Parfumsの「ウードアブラマド」とEtat Libre D’Orangeの「ライクディス」や「ビジューロモンティック」を手掛けています。
そんな彼女の「グリ シャーネル」への思いをBDK ParfumsのInstagramアカウント内、IGTVの語りから引用してみたいと思います。
- BDKパルファム:グリ シャーネルのインスピレーション源はどこから?
What is the inspiration behind "Gris Charnel"?
マチルデビジャウイ:私はトンカビーンアブソリュートと言う生の素材からこの香りに取り組み始めました。その香りは私のお気に入りで、過度な甘さや鼻につくに感じも、やりすぎることもなくとても魅力的なんです。
トンカビーンは本当に魅力的で、それは私が料理をするときによくはじめに手に取るところから始める理由でもあります。
I started with a raw material, Tonka bean Absolute. Which is one of my favorite raw material because it's very addictive, without being sweet, overindulgent or cloying. It has really addictive quality, that's also why I use Tonka beans when I'm cooking taking tonka bean as our starting point.
グリ シャーネル製作中には白と黒のコントラストのようなものを作り出すことに取り組んでいました。そしてその官能さの探究として、違う種類のウッドの香料を採用しました。黒はマダガスカル産のブルボンベチバー、そして、白をクリーミーで包み込むようなサンダルウッドで表現することにしました。
We had fun creating a kind of black and white contrast. A sensual exploration of different types of wood, so the black wood would be the bourbon vetiver from Madagascar, the kind I want to see and the white side of the wood is this creamy, enveloping sandalwood.
そして、この2つの素材をトンカビーンのベースの上に一緒に乗せ、少しのアイリスのメインと明るくフレッシュなトップノートで作り上げることで、より官能的な香りを作ることができました。
It's these two materials on a tonka bean base, together with a bit of iris in the heart, and a light freshness in the top note. That give this rather sensual structure.
出典:BDK Parfumes IGTV:Les Rendez-Vous BDK,Mathilde Bijaoui
https://www.instagram.com/tv/CKzFUOrhUGo/?utm_medium=copy_link
香水のタイトルにグリ(グレー)の名前がついていますが、それを黒と白のコントラストで作ることで意識していることに驚きました。
確かに改めて嗅いでみるとコクのあるトンカの甘さを引き立てるように様々なスパイスが立ち、まろやかさをフィグとサンダルウッド、ベチバーで。その2つのパートが入り混じって、よりモダンな香りに昇華されているように感じました。
ちなみにトンカビーンについてはこちらの記事をどうぞ。
また、先日のイカとは違って一つのお気に入りの香料から香りを作り出すアプローチもブランドごとに違ってユニークですし、その香りが生き生きと物語を作り上げ、私たちもその感性を共有できるほどに作り込まれていることに驚きました。
このほかにもBDK Parfumsには物語を語りだす香りがたくさん存在します。
香りが紡ぐパリの物語を読むように体験してみてはいかがでしょうか。
BDK Parfumes|グリ シャーネルの取り扱い店舗
・新宿店 ・銀座店 ・池袋店 ・大阪店 ・横浜店 ・オンライン
BDK Parfums, "Project,BDK Parfums",2016 (Retrieved,April 10 2021, https://bdkparfums.com/eu_en/project)
Fragrantica, Discovery: The New French House Bdk Paris,July 4 2016 (Retrieved 2021 April 10 2021, https://www.fragrantica.com/news/Discovery-The-New-French-House-Bdk-Paris-8214.html)
Fragrantica, Interview with perfumers: Mathilde Bijaoui and Christine Nagel,June 19,2012 (Retrieved April 10 2021, https://www.fragrantica.com/news/Interview-with-perfumers-Mathilde-Bijaoui-and-Christine-Nagel-3279.html)
BDK Parfumes Instagram IGTV, Les Rendez-Vous BDK,Mathilde Bijaoui,February 3 2021 (Retrieved march 10 2021, https://www.instagram.com/tv/CKzFUOrhUGo/?utm_medium=copy_link)
CNN Business,Dance with Native, How to Enjoy Paris like Local, October 2 2017, (Retrieved May 7 2021, https://money.cnn.com/gallery/luxury/2017/10/02/paris-like-a-local/12.html)
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