2021年 2月 28日
コラム
ノーズショップで見つけるクラシック
先日のフゼア、シプレ特集から、頭の中が一気に古き良きクラシックな香りが気分みたいです。
新進気鋭の香水が多めなノーズショップ。でも実はクラシカルな香りも多くあるんです。
そこで、今回は約100年前の香りや調香師という職業に女性の居場所を切り開いた伝説的な香りなど、ノーズショップで見つかるクラシックな香りをご紹介します!
女性調香師という職業を認めさせた
NOTE:
トップ|アカシア、ベルガモット、ガルバナム
ボディ|チュベローズ、ジャスミン、イランイラン、ローズ、ネロリ、アイリス
ベース|サンダルウッド、オークモス、ムスク、シベット
フィグティーがとにかく大人気なニコライの一番最初の香りであるナンバーワン アンタンス。
このニコライ、調香師であるパトリシア ド ニコライが1989年に立ち上げたブランドで、ニコライさんは1800年代から一族で香りを作り続ける香水の老舗、ゲランの家系で生まれ育った調香師のサラブレットです。
この作品をリリースしたのは1988年。
まだニコライというブランドが生まれる前で、この香りで当時社会にあった「調香師は男性の職業」という当時の常識をひっくり返します。
ニコライはこの香りを88年にフランスの有名な香水のコンテストに名前と性別を伏せてエントリーし、女性初の「最高調香師賞」を受賞しました。女性も調香師として活躍できるということを世界中に実力で認めさせた瞬間でした。
なので、名前もナンバーワン アンタンスという名前が付けられています。
この香りが賞を受賞した時のことをFragranticeのインタビューで彼女は「自分自身でブランドを立ち上げてみたらどうなるんだろう?」と考えるきっかけになったと言い、「この出来事は運命が私に正しい道を歩むように語りかけてきたようだった。」と回想しています。
香りはチュベローズという夜に咲く甘い香りのお花を主体にジャスミンやイランイランなどのこれもまた甘いお花の香りを加えたホワイトフローラルと呼ばれるタイプの香り。
トップはガルバナムやアカシアが青味があり、お花屋さんのような雰囲気があります。
ベースがオークモスやパチョリなのでしっとり渋めなシプレのような香りに落ち着いていきます。
お花で作ったドレスのような華やかさのある香りです。
90年前のクラシック
NOTE:
トップ|アルデヒト、フレッシュ、ローズ
ボディ|ジャスミン、イランイラン、アイリス、スパイス
ベース|ムスク、ドライウッド、アニマリック、バニラ
銀座店限定のこの香りはペリスが90年前の香水のレシピをそのまま復元したもの。
先日のフゼアの記事でもお伝えしたように、このペリスは一族で運営しているブランドで、他にも様々なブランドを手掛けています。
クラシックを現代に蘇らせることが得意な一族で、ペリスを手掛ける傍ら老舗の香水ブランド「ウビガン」を手掛けています。
「ウビガン」というブランドは1775年創業の香水ブランドで、マリーアントワネットやナポレオンなどが顧客にいたという伝説的な老舗ブランド。
マリーアントワネットはギロチンにかけられる瞬間までウビガンの香水を胴衣に忍ばせていたという逸話が残るほどウビガンの香りを愛していたそう。
そんなウビガンで眠っていた1928年のレシピを復活させたのがこの香り。
約100年前の香りと言われてもわからない位にフレッシュなローズとアルデヒドの組み合わせから始まり、徐々にパウダリーなムスクとジャスミンの組み合わせに。
鮮やかで美しいムスクの香りです。
100年前からやってきたモダンクラシック
NOTE:
トップ|レモン(カラブリア産)、ビターオレンジ、パチョリ(インドネシア産)
ボディ|ジャスミンアブソリュート、ベチパー(ハワイ産)、クローブ(マダガスカル産)
ベース|ユーカリ(オーストラリア産)、サンダルウッド(インド産)、ホワイトムスク、ブルボンバニラ
新宿店限定のブランド、Ciroからシュバリエ ドゥ ラ ニュイです。
この名前はフランス語で「夜の騎士」という意味。
シロと聞くと日本のブランドを思い浮かべてしまいがちですが、こちらは『華麗なるギャツビー』のような好景気に沸いた1920年代にアメリカ、ニューヨークで生まれたブランドです。
この香りは1920年代の夜の騎士つまり、ギャツビーのような世界に生きる人々をイメージした1923年発表の香りです。
1960年代には一度休眠状態になってからはしばらく誰も触らない状態が続いていましたが、2018年にフレグランスブランドのLinaliのオーナーが引き取り、再起動したブランドです。
当時のボトルは最近、日本の美術館で展示されるほどの作品されたものでした。
気になる方はこちらの記事に昔の画像や、香りの感想があるので、英語ですが是非読んでみてください。
現在採用しているボトルはアーカイブのものをリニューアルしたもので、ミニマルでありながらラグジュアリーなボトルになっています。
キャップは24金のメッキ仕様、角を落としたボトルは特許を取得してるものだそう。こ
のクオリティは100mlのボトル以外では作り出すことができないため、100mlのサイズのみでしか展開しないというこだわりようです。
ボトルの細部にまでクラフツマンシップが輝くボトルです。
全ての香りは当時のものを再現しながら現代の雰囲気を注ぎ込んだクラシックでありながらモダンな香りで、これはバニラの甘さにグローヴやパチョリが重なる、夜の騎士の襟元から漂いそうな官能的な香り。
バニラやジャスミンが甘くて深いお酒のような雰囲気を残しながらも、スパイスや白檀がキリッと引き締めてくれるカッコいい香りです。
今回はノーズショップで見つけるクラシックをテーマに香りをご紹介しました。
新進気鋭のブランドも、昔から長く続くクラシックも幅広く自分のお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。
参考文献
Igor Masyukov, "Nicolaï Parfumeur Createur: 30 Years On", Fragrantica (Retrieved November 20 2020, fragrantica.com/news/Nicolaï-Parfumeur-Createur-30-Years-On-12608.html)
Sergey Borisov,"Perris Monte Carlo: The New House Presents Five Perfumes",Fragrantica,(Retrieved November 20 2020, https://www.fragrantica.com/news/Perris-Monte-Carlo-The-New-House-Presents-Five-Perfumes-3263.html)
Matvey Yudov,"Parfums Ciro: Back to the Future",Fragrantica,(Retrieved November 20 2020, https://www.fragrantica.com/news/Parfums-Ciro-Back-to-the-Future-11651.html)
新進気鋭の香水が多めなノーズショップ。でも実はクラシカルな香りも多くあるんです。
そこで、今回は約100年前の香りや調香師という職業に女性の居場所を切り開いた伝説的な香りなど、ノーズショップで見つかるクラシックな香りをご紹介します!
女性調香師という職業を認めさせた
NICOLAI(ニコライ)|ナンバーワン アンタンス
NOTE:トップ|アカシア、ベルガモット、ガルバナム
ボディ|チュベローズ、ジャスミン、イランイラン、ローズ、ネロリ、アイリス
ベース|サンダルウッド、オークモス、ムスク、シベット
フィグティーがとにかく大人気なニコライの一番最初の香りであるナンバーワン アンタンス。
このニコライ、調香師であるパトリシア ド ニコライが1989年に立ち上げたブランドで、ニコライさんは1800年代から一族で香りを作り続ける香水の老舗、ゲランの家系で生まれ育った調香師のサラブレットです。
この作品をリリースしたのは1988年。
まだニコライというブランドが生まれる前で、この香りで当時社会にあった「調香師は男性の職業」という当時の常識をひっくり返します。
ニコライはこの香りを88年にフランスの有名な香水のコンテストに名前と性別を伏せてエントリーし、女性初の「最高調香師賞」を受賞しました。女性も調香師として活躍できるということを世界中に実力で認めさせた瞬間でした。
なので、名前もナンバーワン アンタンスという名前が付けられています。
この香りが賞を受賞した時のことをFragranticeのインタビューで彼女は「自分自身でブランドを立ち上げてみたらどうなるんだろう?」と考えるきっかけになったと言い、「この出来事は運命が私に正しい道を歩むように語りかけてきたようだった。」と回想しています。
香りはチュベローズという夜に咲く甘い香りのお花を主体にジャスミンやイランイランなどのこれもまた甘いお花の香りを加えたホワイトフローラルと呼ばれるタイプの香り。
トップはガルバナムやアカシアが青味があり、お花屋さんのような雰囲気があります。
ベースがオークモスやパチョリなのでしっとり渋めなシプレのような香りに落ち着いていきます。
お花で作ったドレスのような華やかさのある香りです。
90年前のクラシック
Perris Monte Carlo(ペリス モンテカルロ)|ムスク エクストリーム
NOTE:トップ|アルデヒト、フレッシュ、ローズ
ボディ|ジャスミン、イランイラン、アイリス、スパイス
ベース|ムスク、ドライウッド、アニマリック、バニラ
銀座店限定のこの香りはペリスが90年前の香水のレシピをそのまま復元したもの。
先日のフゼアの記事でもお伝えしたように、このペリスは一族で運営しているブランドで、他にも様々なブランドを手掛けています。
クラシックを現代に蘇らせることが得意な一族で、ペリスを手掛ける傍ら老舗の香水ブランド「ウビガン」を手掛けています。
「ウビガン」というブランドは1775年創業の香水ブランドで、マリーアントワネットやナポレオンなどが顧客にいたという伝説的な老舗ブランド。
マリーアントワネットはギロチンにかけられる瞬間までウビガンの香水を胴衣に忍ばせていたという逸話が残るほどウビガンの香りを愛していたそう。
そんなウビガンで眠っていた1928年のレシピを復活させたのがこの香り。
約100年前の香りと言われてもわからない位にフレッシュなローズとアルデヒドの組み合わせから始まり、徐々にパウダリーなムスクとジャスミンの組み合わせに。
鮮やかで美しいムスクの香りです。
100年前からやってきたモダンクラシック
Ciro(シロ)|シュバリエ ドゥ ラ ニュイ(夜の騎士)
NOTE:トップ|レモン(カラブリア産)、ビターオレンジ、パチョリ(インドネシア産)
ボディ|ジャスミンアブソリュート、ベチパー(ハワイ産)、クローブ(マダガスカル産)
ベース|ユーカリ(オーストラリア産)、サンダルウッド(インド産)、ホワイトムスク、ブルボンバニラ
新宿店限定のブランド、Ciroからシュバリエ ドゥ ラ ニュイです。
この名前はフランス語で「夜の騎士」という意味。
シロと聞くと日本のブランドを思い浮かべてしまいがちですが、こちらは『華麗なるギャツビー』のような好景気に沸いた1920年代にアメリカ、ニューヨークで生まれたブランドです。
この香りは1920年代の夜の騎士つまり、ギャツビーのような世界に生きる人々をイメージした1923年発表の香りです。
1960年代には一度休眠状態になってからはしばらく誰も触らない状態が続いていましたが、2018年にフレグランスブランドのLinaliのオーナーが引き取り、再起動したブランドです。
当時のボトルは最近、日本の美術館で展示されるほどの作品されたものでした。
気になる方はこちらの記事に昔の画像や、香りの感想があるので、英語ですが是非読んでみてください。
現在採用しているボトルはアーカイブのものをリニューアルしたもので、ミニマルでありながらラグジュアリーなボトルになっています。
キャップは24金のメッキ仕様、角を落としたボトルは特許を取得してるものだそう。こ
のクオリティは100mlのボトル以外では作り出すことができないため、100mlのサイズのみでしか展開しないというこだわりようです。
ボトルの細部にまでクラフツマンシップが輝くボトルです。
全ての香りは当時のものを再現しながら現代の雰囲気を注ぎ込んだクラシックでありながらモダンな香りで、これはバニラの甘さにグローヴやパチョリが重なる、夜の騎士の襟元から漂いそうな官能的な香り。
バニラやジャスミンが甘くて深いお酒のような雰囲気を残しながらも、スパイスや白檀がキリッと引き締めてくれるカッコいい香りです。
今回はノーズショップで見つけるクラシックをテーマに香りをご紹介しました。
新進気鋭のブランドも、昔から長く続くクラシックも幅広く自分のお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。
参考文献
Igor Masyukov, "Nicolaï Parfumeur Createur: 30 Years On", Fragrantica (Retrieved November 20 2020, fragrantica.com/news/Nicolaï-Parfumeur-Createur-30-Years-On-12608.html)
Sergey Borisov,"Perris Monte Carlo: The New House Presents Five Perfumes",Fragrantica,(Retrieved November 20 2020, https://www.fragrantica.com/news/Perris-Monte-Carlo-The-New-House-Presents-Five-Perfumes-3263.html)
Matvey Yudov,"Parfums Ciro: Back to the Future",Fragrantica,(Retrieved November 20 2020, https://www.fragrantica.com/news/Parfums-Ciro-Back-to-the-Future-11651.html)
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