NOSE SHOPはミックスジュース⁉︎

ジュースのジューサーやミキサーの中に入ったことはありますか?ある人なんて、いらっしゃらないと思います。

ちょっと想像してみてください。水族館のようにジューサーやミキサーの中を覗き込んでみる。

あっちには苺、こっちには林檎、その向こうにはバナナや桃がいます。あらあら、その向こうから蜜柑もやってきました、なんて。なんか楽しくなってきますよね。

NOSE SHOPはミックスジュース!?

フルーツの香りも香水のひとつのジャンル。

昔から清潔感溢れる柑橘系は果物の香りがベースになっています。レモンやライム、グレープフルーツ、シトラスはそんな柑橘系の代表選手。桃の香りは少女の面影を感じたり、ロマンティックな印象を与えます。瑞々しさは梨や青林檎の香りが物陰から顔出しているみたいに感じられて。

お花のミックスジュースも可憐で美しい香りを感じられるかもしれません。

ローズは優雅でエレガントであり、甘い重厚感を感じさせてくれます。ジャスミンの香りには異国の地に想いを馳せることもできます。可憐な香りはアイリスやチェリーブロッサムから漂って。

香水の香りも一本一本がミックスジュース。

NOSE SHOPはミックスジュース⁉︎_MDR

嗅覚を研ぎ澄ませて、目を閉じて香水の香りに耳を澄ますのではなく、鼻を澄ませてみて。

スッと柑橘系の香りを感じたかと思うと、その隣を若草のような香りが通り抜けていく、その後からはちょっと不思議な香りの樹木の匂いに心落ち着くことを感じたり。

遠くのほうからはスパイシーなペッパーの香りが風に誘われて。 麝香鹿(ジャコウジカ)は一般的には「ムスク」と呼ばれる媚薬とも呼ばれる危険な香り?香水のボトル一本でもそんな風に香りのミックスジュースを楽しめる。

それだけではありません。NOSE SHOPはお店全体が大きなミックスジュースをつくるジューサーやミキサーなのだと想像を巡らせてみて。気になるボトルの横にある木綿の綿に染み込んだ香りの宝石箱の中から溢れんばかりの香りの数々が貴方の鼻を楽しませてくれるはず。

NOSE SHOPはミックスジュース⁉︎_unum

 貴方が気になったボトルからはレモンライムの爽やかな風が吹き込んできたかと思うと、隣のボトルからは甘い甘いバニラアイスの芳醇な味わいが訪れてきます。

目に入ったボトルを手に取ると今度は薔薇の香りが優雅な気分を貴方の気持ちを昂らせてくれます。店内を回遊するとまるで、自分がジューサーやミキサーの中にいるみたいにいろんな香りに辿り着きます。中にはこれが香水なの? そんな香りも貴方の日常にノックするみたいに、顔を出してきます。

枯れ草のような匂いに子どものころに遊んだ空き地を思い出したり、紫檀(シタン)の放つ高貴な芳香に包まれる時間が訪れるかもしれません。

スパイシーな香りがやってくると食欲をそそられるかもしれません。ペッパーが鼻をくすぐると肉料理や魚料理にお腹を鳴らす人もいるかも?グローブやシナモンに朝の紅茶を思い出したり、ナツメグの香りにハンバーグを連想したり。燻製のようなスモーキーな香りもあれば、水やスープをイメージしてつくられた香水もあります。まるで貴方の食生活が蘇るようです。

まるで自分が革ジャンを着ているような錯覚に陥る香りもあります。
動物たちの野生的な匂いからヒントを得て紡ぎ出した香りや、見知らぬ土地の香りをイメージして調香された香りもあります。

NOSE SHOPはミックスジュース⁉︎_nose

風変わりな香りで貴方の印象も個性的に感じてもらえるはずです。

NOSE SHOPに足を運んでみて。
貴方の頭の中もミックスジュースみたいに、いろんな香りで脳細胞がぐるぐるするかもしれませんね。


text・photo|Toru Kitahara


北原 徹 フォトグラファー、編集者、文筆家 マガジンハウスで「anan」の編集や「POPEYE」の副編集長などを経験後、独立。2016年にファッション誌「PLEASE」を立ち上げ、国内外のハイブランドを撮影、編集し話題に。2022年には丁寧な暮らしのための雑誌「This」を創刊。2022年7月の「渋谷パルコ」のシーズンビジュアル「2022 A/W NEW LOOK」ではモデルにモトーラ世理奈さんを起用し、総合ディレクション、アートディレクション、写真、スタイリングとして制作。カタログをはじめビジュアル製作も多数。
Instagram:@torukitahara