どこか懐かしい雨の香り
曇り空の下「降りそうだな」と、肌や鼻で雨の予感を感じる時、ありませんか?濡れた土やアスファルトを思わせるあの香りに、懐かしさを抱く方もいるかもしれません。
それは「ペトリコール」と呼ばれ、香水の世界で度々取り上げられることも。
今回は香水の世界での雨の表現や雨をモチーフにした香りをご紹介します。
雨の匂いの正体
あの雨の匂いは「ペトリコール」と呼ばれるもの。オーストラリアの研究機関、CSIROの科学者が発表した論文によって報告された造語です。
かつてより自然界に存在する乾燥した粘土や石に水や息をふきかけると独特な匂いを発することが知られていましたが、その起源にCSIROの鉱物化学部門に在籍していた研究員のジョンとリチャードは迫ろうとします。
彼らは外で暖かく乾燥させた石を水蒸気蒸留したところ、黄色みを帯びたオイルが姿を表し、これが雨の香りの原点であることを突き止めました。
この匂いをギリシャ語で石を意味する”Petra”と神々の血を意味する”Ichor”を組み合わせた「Pertichor(ペトリコール)」という造語で呼びました。
ペトリコールは雨の前兆である湿度の上昇により、石の孔に水分が充満し、雨の前に匂いが放たれます。さらに雨が降ることで、雨粒が地面や石と接触するとさらに香りが放たれ、風に乗って拡散が起こります。
雨そのものの匂いではなく、雨によって石が含んでいる香りの成分(香気成分)が私たちの鼻に届いているようです。
そんな雨の匂いは香水の世界ではどのような雨の表現をしているのでしょうか。NOSE SHOPで見つけることのできる雨の香りをご紹介いたします。
NOSE SHOPで見つける「雨の香り」
香気成分「ゲオスミン」が入った香水
Etat Libre d'Orange|エルマン(もう一人の自分)
先ほどご紹介した、雨の香り「ペトリコール」をさらに分解すると重要な香気成分は「ゲオスミン」(ジェオスミン)というものになると言われています。この香水にはゲオスミン自体を香料として入れ、薄暗い森のようなダークでゴシックな雰囲気を作り上げています。
ヴィクトル・ユーゴーの詩、「二人の騎手は森で何を考えていたのか」をテーマに、「全ての人に存在する影」を香水に閉じ込めたアイテム。ゲオスミンを効果的に用いて、影の輪郭を描き出したようなアイテムです。
トップ|ブラックペッパー、ガルバナム、ブラックカラント
ボディ|インセンス、ゲオスミン、ローズ(Abs)
ベース|ベチバー、パチョリ、アンブロックス
パフューマー|クエンティン・ビスク
取扱店舗|NOSE SHOP 新宿、渋谷、有楽町、丸の内、横浜、名古屋、大阪、オンライン
アイリスによる「雨」の表現
Elisire|プードルデジール(純粋な女性らしさのエッセンス)
雨上がりの太陽の下で咲く花をイメージして作られたこの香りは雨が上がった冷たい空気の中に咲くアイリスとクチナシ、ふんわりと優しいムスクの香り。
アイリスは古くから雨の表現に使われてきました。
例えば、雨上がりをモチーフにした香水として知られる、老舗ブランドのゲランが発表した「アプレロンデ」。「驟雨の後で」という和名がつけられています。アイリスのしっとりとしたパウダリーな香りが、雨上がりの空気を思わせるアイテムです。このプードルデジールも例外ではなく、アイリスがふんわりと柔らかく香ります。
調香を手がけたのはアルベルト・モリヤス。カルバン クラインのCK1など有名な香水を作り続けてきた、レジェンドパフューマーです。彼の作品らしい、細部まで作り込まれながらも、王道を外さない柔らかな香りになっています。
トップ|ベルガモット(カラブリア産)、マンダリン、ピンクペッパー
ボディ|アイリスアブソリュート、エジプシャンジャスミンインフュージョン、ジャスミンの花びら、ガーデニア
ベース|ムスク、シダーウッド、ヘリオトロープ
パフューマー|アルベルト・モリヤス
取り扱い店舗|NOSE SHOP 有楽町、名古屋、オンライン
しんとした雨の中を歩いているような
Nebbia|ネビア フィッタ(厚い霧)
ペトリコールを模した香料が使用されているアイテムをご紹介。
霧をモチーフにした香水を作るネビア。フィッタには分厚い霧をイメージが込められています。トップにペトリコールを模した、湿った地面という香料がクレジットされています。雨上がりのじめっとした空気感にパチョリの土っぽさや森の葉の青さを感じることができます。雨上がりの森を歩いているような感覚になる不思議な香りです。
トップ|湿った地面
ボディ|貴重な森
ベース|アンバー、パチョリ
パフューマー| ー
取り扱い店舗|NOSE SHOP 新宿、丸の内、大阪、オンライン
今回はペトリコールから香水の世界での表現まで、雨にまつわる香りをご紹介しました。
この香りたちをまとって雨音を聞きながら読書をしたり、お気に入りのレイングッズと一緒に近くの散歩をしてみてもいいかもしれませんね。
Howard Poynton and Nicholas Rachel,2015,"The smell of rain: how our scientists invented a new word", CSIRO scope,(Retrieved May 24,2020, https://blog.csiro.au/the-smell-of-rain-how-our-scientists-invented-a-new-word/)



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