2020年 11月 05日
コラム
香料シリーズ【ベチバー】の回
こんにちは!浦野です。
毎回好評の香料シリーズ(香水に使われている香料を軸として、香水に魅力をお届けしています)ですが、今回は【ベチバー】をお送りします!
ウッド系の香水がお好きな人だと、ベチバーが使われていることが多いので、聞いたことある人も多いかもしれませんね。
しかし、実際ベチバーってなに?植物?と店頭でも気になる人続出してる香料なんです。
原産国はインドですが、インド以外にもジャワ島とハイチも【ベチバー】の産地として有名です。NOSE SHOPの香水の香料にも『ベチバー(○○産)』と表記されている商品も多くあり、ジャワ島とハイチは多いんですよ。
また、ベチバーはインドでは別名『Khus(クスorカス)』と呼ばれており“香り高い根”を意味しています。和名の『カスカスガヤ』はこれに由来しています。(なんだか可愛い名前ですよね)
さて、肝心の香りですが…
ベチバーの葉には香りはほとんどなく、香料として使われているのは根っこの部分なんです。
(『Khus(クスosカス)』と呼ばれている理由はこれですね!)
根っこを使うので、暗く湿り気と少しの焦げ感、濡れた土壌の香りと表現されたり、ウッディーでアーシーといわれます。
香水のベースによく使われるのですが、甘い香りの香水でも『甘さを引き立たせる苦味』として使用されます。この苦味があることで香水の格がグンと上がります!
トップ、ボディ、ベースのそれぞれに産地の違うベチバーを4種類も使っている贅沢な使い方!
トップのアブサンがベチバーの土っぽい香りをより鋭いアーシーに仕上げる。ボディ以降は、ネロリの香りが持続してマイルドなウッド調に変化します。NISHANEは全体的に賦香率(香りの濃度)が高いこともあり、ベチバーを最初から最後まで楽しめる香りになっています。我こそはベチバー愛好家という人にはぜひ試して頂きたい香りです。
NOTE:
トップ|ベチバー(ジャワ島産)、アブサン、シヌスモレ、ベルガモット
ボディ|バーボンベチバー、ベチバー(ハイチ産)、ネロリ、トンカマメ
ベース|アンバーウッド、レザー、ベチバー(ブラジル産)
バニラも使われていますがバニラ感よりマロンクリームのコクのある甘さとミルラやオポポナックスの樹脂系の甘さを感じます。
そこにオリーブの葉のグリーン感とベチバーの土っぽい香りが重なり、お香のような雰囲気をもたらします。
実は、この香水「Bobby Kendall(ボビー・ケンダル)」という男性の実話から着想された香りです。彼は若いころ、その美貌を活かして“Pink Narcissus”というゲイの映画に出演し当時は注目を浴びプレイボーイとなりました。しかし、『若さ=美貌』は続かず、現在はニュージャージー州の田舎で電気技師(エレクトリシャン)をしています。
『ファットエレクトリシャン』とは直訳すると“太った電気技師”であり、若さにしがみつく男を皮肉たっぷりに香りに落とし込んだのがこの香りです。
香料に使われている“若いオリーブの葉”や“マロンクリーム”は成熟していない若さを表現し、ほろ苦い“ベチバー”の香りは現在の自分を表現しているのかもしれませんね。
香りのバックストーリーはさておき、私は今回紹介する3つの香水の中で最も好きな香りなんです!(去年のマガジンでも少し触れたので、ご存知の方もいるかもしれませんね)ほのかな甘さの中に漂うベチバーの香りは強すぎないことがポイントで、上記に書いた通り『甘い香りを引き立たせる苦味』が生かされています。甘い香りに一捻り欲しい方におすすめの香水です。
NOTE:
ベチバー(ハイチ産)、マロンクリーム、オリーブの葉、ミルラ、バニラ、オポポナックス・・・
朝の目覚めは、柑橘の果皮をすりつぶしたような苦味と、フルーティーで瑞々しい酸味からはじまる。 それは次第にカーネーションやナツメグのスパイスをアクセントに、太陽は大地を温め、ベチバーがほろ苦く柔らかく香り立つ。荒々しいフレッシュさとベチバーやウッドの静けさが両立するこの香りは変化を楽しみながら肌に纏ってもらいたい香水です。
NOTE:
トップ|カーネーション(EO)、ナツメグ(EO)、ビターオレンジ
ボディ|ベチバー(EO)、ブラックペッパー(EO)、ピンクペッパー(EO)、グレープフルーツ
ベース|シダーウッド(EO)、クラリセージアブソリュート、サンダルウッド、ホワイトムスク
ベチバーは好みが分かれやすい香料のひとつですが、調香によって雰囲気もだいぶ変わります。色々試してみてお気に入りのベチバーの香水見つけて見てくださいね。
浦野でした。
毎回好評の香料シリーズ(香水に使われている香料を軸として、香水に魅力をお届けしています)ですが、今回は【ベチバー】をお送りします!
ウッド系の香水がお好きな人だと、ベチバーが使われていることが多いので、聞いたことある人も多いかもしれませんね。
しかし、実際ベチバーってなに?植物?と店頭でも気になる人続出してる香料なんです。
【ベチバー】 とは?
【ベチバー】とは、インド原産のイネ科の植物で2mくらいまで育ち、見た目はススキに似ていると言われています。昔から根や葉を加工して、扇やすだれ、マットなどの原料として使われてきた植物です。原産国はインドですが、インド以外にもジャワ島とハイチも【ベチバー】の産地として有名です。NOSE SHOPの香水の香料にも『ベチバー(○○産)』と表記されている商品も多くあり、ジャワ島とハイチは多いんですよ。
また、ベチバーはインドでは別名『Khus(クスorカス)』と呼ばれており“香り高い根”を意味しています。和名の『カスカスガヤ』はこれに由来しています。(なんだか可愛い名前ですよね)
さて、肝心の香りですが…
ベチバーの葉には香りはほとんどなく、香料として使われているのは根っこの部分なんです。
(『Khus(クスosカス)』と呼ばれている理由はこれですね!)
根っこを使うので、暗く湿り気と少しの焦げ感、濡れた土壌の香りと表現されたり、ウッディーでアーシーといわれます。
香水のベースによく使われるのですが、甘い香りの香水でも『甘さを引き立たせる苦味』として使用されます。この苦味があることで香水の格がグンと上がります!
NISHANE|スルタン ベチバー(ベチバーの皇帝)
こちらの香りは“皇帝”の名前を裏切らない力強いベチバーを感じられる香水。トップ、ボディ、ベースのそれぞれに産地の違うベチバーを4種類も使っている贅沢な使い方!
トップのアブサンがベチバーの土っぽい香りをより鋭いアーシーに仕上げる。ボディ以降は、ネロリの香りが持続してマイルドなウッド調に変化します。NISHANEは全体的に賦香率(香りの濃度)が高いこともあり、ベチバーを最初から最後まで楽しめる香りになっています。我こそはベチバー愛好家という人にはぜひ試して頂きたい香りです。
NOTE:
トップ|ベチバー(ジャワ島産)、アブサン、シヌスモレ、ベルガモット
ボディ|バーボンベチバー、ベチバー(ハイチ産)、ネロリ、トンカマメ
ベース|アンバーウッド、レザー、ベチバー(ブラジル産)
ETAT LIBRE D'ORANGE|ファット エレクトリシャン|過ぎ去りし美の呪い
この香水は、ほのかな甘さの奥底に土っぽい寄り添うようなベチバーを感じられる香りです。甘さのポイントはマロンクリーム!バニラも使われていますがバニラ感よりマロンクリームのコクのある甘さとミルラやオポポナックスの樹脂系の甘さを感じます。
そこにオリーブの葉のグリーン感とベチバーの土っぽい香りが重なり、お香のような雰囲気をもたらします。
実は、この香水「Bobby Kendall(ボビー・ケンダル)」という男性の実話から着想された香りです。彼は若いころ、その美貌を活かして“Pink Narcissus”というゲイの映画に出演し当時は注目を浴びプレイボーイとなりました。しかし、『若さ=美貌』は続かず、現在はニュージャージー州の田舎で電気技師(エレクトリシャン)をしています。
『ファットエレクトリシャン』とは直訳すると“太った電気技師”であり、若さにしがみつく男を皮肉たっぷりに香りに落とし込んだのがこの香りです。
香料に使われている“若いオリーブの葉”や“マロンクリーム”は成熟していない若さを表現し、ほろ苦い“ベチバー”の香りは現在の自分を表現しているのかもしれませんね。
香りのバックストーリーはさておき、私は今回紹介する3つの香水の中で最も好きな香りなんです!(去年のマガジンでも少し触れたので、ご存知の方もいるかもしれませんね)ほのかな甘さの中に漂うベチバーの香りは強すぎないことがポイントで、上記に書いた通り『甘い香りを引き立たせる苦味』が生かされています。甘い香りに一捻り欲しい方におすすめの香水です。
NOTE:
ベチバー(ハイチ産)、マロンクリーム、オリーブの葉、ミルラ、バニラ、オポポナックス・・・
LABORATORIO OLFATTIVO|ベティベルソ
中央アメリカにあるアンティル諸島の大地を想像させてる香り。(ハイチはアンティル諸島のひとつである)朝の目覚めは、柑橘の果皮をすりつぶしたような苦味と、フルーティーで瑞々しい酸味からはじまる。 それは次第にカーネーションやナツメグのスパイスをアクセントに、太陽は大地を温め、ベチバーがほろ苦く柔らかく香り立つ。荒々しいフレッシュさとベチバーやウッドの静けさが両立するこの香りは変化を楽しみながら肌に纏ってもらいたい香水です。
NOTE:
トップ|カーネーション(EO)、ナツメグ(EO)、ビターオレンジ
ボディ|ベチバー(EO)、ブラックペッパー(EO)、ピンクペッパー(EO)、グレープフルーツ
ベース|シダーウッド(EO)、クラリセージアブソリュート、サンダルウッド、ホワイトムスク
ベチバーは好みが分かれやすい香料のひとつですが、調香によって雰囲気もだいぶ変わります。色々試してみてお気に入りのベチバーの香水見つけて見てくださいね。
浦野でした。
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