文学と香水

こんにちは!NOSE SHOPスタッフの中村です。
9月は新宿メインで勤務しておりますが、銀座、池袋にもたまにおりますのでどこかでお会いできればと思います!!

さて楽しかった夏も終わり、どこか哀愁漂う秋が来ました。
皆さんは秋といえば何を思い浮かべますか?

食欲の秋、スポーツの秋…
私にとっては「読書の秋」です。
私はめちゃめちゃ食いしん坊なので食欲の秋と言いたいところなのですが、いかんせん芋とか栗なんかのほくほくした食べ物が苦手なのです…(芋焼酎は大好きです。富乃宝山最高)

話が少しそれてしまいましたが、今回は読書の秋ということで私の大好きな作家────太宰治、三島由紀夫、坂口安吾のそれぞれの作品とともに楽しみたい香りをピックアップしてみました!
今回も例にもれず中村の独断と偏見によるチョイスですが、お付き合いいただければ。

太宰治 「人間失格」

  • ただ、一さいは過ぎて行きます。


始めから鬱展開の作品を持ち出してしまい申し訳ないです。

太宰といえばこれ、という作品ですね。
他人の気持ちを理解できない恐怖や孤独から酒や煙草、女性関係に溺れていく葉蔵の心情をこの香りと重ねてみました。

Histories de Parfums(イストワール ドゥ パルファン)|1969

トップ|トロピカルフルーツ、ビロードピーチ
ボディ|ローズ、ホワイトフラワー、カルダモン、クローブ
ベース|パチョリ、ショコラ、カフェ、ホワイトムスク

この香り自体は1960年代の退廃的な雰囲気を表現したもので、トップノートのジューシーなピーチから熱帯夜のようなスパイス、チョコレートの香りへ変化していきます。
不安から逃れ享楽にふける姿をイメージ。

三島由紀夫 「仮面の告白」

  • 兵士たちの汗の匂い、あの潮風のような・黄金に炒られた海岸の空気のような匂い、あの匂いが私の鼻孔をうち、私を酔わせた。


私がいちばん好きな作家、三島です。潮騒や金閣寺でもよかったのですが、あえて初期のこちらを。

作中では幼少期から青年期にかけ、同性愛者であることを自覚し苦悩する主人公の姿が描かれています。
引用したのは幼少期の記憶にあらわれる訓練帰りの兵士に関する一文なのですが、表現の美しさがとても気に入っているのでこちらに似合う香りをご紹介しようと思います。

ERISIRE(エリザイア)|アンバーノマド(オリエントへの驚きの旅)

トップ|アプリコットネイチャープリント、ジンジャーネイチャープリント、クラリセージ
ボディ|イランイラン、シダーウッド、シトラスアブソリュート
ベース|パチョリ、フランキンセンス樹脂、バニラ、ムスク

きらきらしたアプリコットやジンジャーの粒の中に、もったりしたイランイランやバニラがあいまってとてもセクシーな香りです。
兵士たちの隊列は、三島少年の目にはこんなふうに映っていたのでは?

坂口安吾 「堕落論」

  • 偉大な破壊、その驚くべき愛情。偉大な運命、その驚くべき愛情。


太宰、三島と同年代を生きた作家として外せないのが安吾。

現代人といちばんバイブスが合うのはこの人かと。
堕落論はエッセイですが、安吾自身の冷静だけれど決して希望を捨てない生き方は現代にも通ずるのでは?と思っています。

彼の達観した姿勢に合うのはこちら。

ANDREA MAACK(アンドレア マーク)|デュアル(スパ・ラグーンの快楽)

トップ|ジンジャー、レモン
ボディ|シダーウッド
ベース|アンバー、ピンクペッパー

全てを洗い流してくれる、清らかで温かい水の香り。
細かいミストに包まれると、清浄なシダーウッドで心が洗われるよう。
冷静さが欲しい時にぴったりの香りです。
  以上、文学と香水について語らせて頂きました!
読書のお供に作品に似合う香水をつければ、よりストーリーに入り込めるかも…

では!!