香料シリーズ【OUD(ウード)】の回

OUD(ウード)ってなに?

香水の名前に「〇〇ウード」「ウード〇〇」って付く香りは様々なブランドから発売されていますが…それが何か分からない…きっと多いはず。
恥ずかしながら、私もNOSE SHOPで働くまで知りませんでした。
今日は好評頂いている、香料シリーズ【OUD(ウード)】の回スタートです!

OUD(ウード)とは?

中東ではOUD(ウード)、日本では沈香(じんこう)と呼ばれています。その正体は香木の一つで、日本でも古来から親しまれ、中東では自宅で焚いて香りを楽しむ文化があります。香りとしては、鋭い刺激がいつまでも記憶に残り、サンダルウッドのような甘さ酸っぱさ、辛みを合わせもった上品で奥深い香りと言われています。一度香ると忘れられない「香りのダイヤモンド」と称されるほど。
沈香は香りの種類や産地などで分類され、その中で特に質の良いものは伽羅(きゃら)と呼ばれます。現在でも高値で取引されているほど天然の沈香は希少価値の高い香木です。

1キロあたり3000万円以上するものもあり、金1キロあたりよりも高い価値がついた事もあるそうです。
なぜ高いのかと言うと…
沈香の正式名は「沈水香木」と言い、ジンチョウゲ科のアクイラリアという木から取れ、木の一部が傷がついたり虫に食われたりすることで樹脂が分泌し、その分泌物が固まったことで生成されます。原木は、比重が軽く水に浮きますが、樹脂が沈着することで比重が増し水に沈むようになるので「沈水香木」(水に沈む香る木)と名前になりました。沈香が生成される時間は50年、さらに高い質のものであれば100年以上はかかると言われています。

そう!
つまり、偶然の産物だから高いのです!!
(今はほぼすべての沈香属の全種はワシントン条約の希少品目第二種に指定されている)
え、でも香水にもよく使われている、、、
と思いますよね。

今は植樹された沈香樹に故意にドリルなどで穴をあけたり、化学薬品を投入することで人工的に樹脂化させたものを採集した、栽培沈香(人工沈香)が作れるようになり、多様に使われるようになりました。当然ながら品質は天然沈香の方が格段に優れていて、伽羅(きゃら)は現在のところ栽培に成功していないそうです。

長々と説明しちゃいましたが、まだまだ深掘り出来るほど香木は奥が深いです。続きはまたどこかで。 さて、そんなウードの香りにフューチャーした香水がNOSE SHOPには多々あります。 私のイチオシをご紹介しますね。

 

THE HOUSE OF OUD/クロップ 2019(斬新なウード体験)

16年からはじまったクロップコレクション。"CROP"=「収穫」という名の通り、その年に取れた世界最高級のウードと異素材をコラボさせる企画で、19年のテーマはココナッツです。世界250個の限定生産。 こちらの香水入荷した時にNOSE SHOPスタッフの間でも話題になりました。それもそのはず、ココナッツとウードの二種類の香料しか使われておらず、お値段も今までNOSE SHOPで取り扱っていた商品の中では群を抜いてお高め。この香り、気になりますよね。
私の鼻感では吹き付けた瞬間の方がココナッツの柔らかい甘さを感じ、それは次第に温かくエキゾチックな香りに変化して、官能的で少し塩辛く甘い香りに感じました。こんなにウードと言う香りが柔らかく感じた事が今までないと思うくらい。私のイメージしていた重く荒々しい香りという印象が変わりました。1度はぜひ嗅いで欲しい香り。250個のうちの一つを手に入れるのは誰か。

NOTE
ココナッツ、ウード
 

Perris Monte Carlo/ウードインペリアル(ウードの皇帝)

ウードが天然で出来上がるまでの長い年月に想いをはせてみる…そこには静寂と穏やかさに少しの強さが合わさる絶妙なバランスがあるように思う。まさにこの香水はバランス=調和のある香り。纏った瞬間、私はシトラス、パチョリとウッドが「おが屑」の香りのように感じました。
次第に、お寺の本堂で深呼吸しているかのような深い香り変化していく。
ベチバーとウッドとウードの香りが静かに存在感を放って香っている。この香水、希少な天然ウードエッセンシャルオイルを使用しているのもポイント。最後まで重く、甘くならない香りなので夏でも纏いやすいはず。「静寂のもつ柔らかい強さ」を感じて欲しい。

NOTE:
トップ|ジャスミン、クミン、シトラス
ボディ|インセンス、パチョリ、サフラン、パピルス
ベース|サンダルウッド、ナチュラルウード、シダーウッド、ラブダナム、ベチバー、バーチ
L'ORCHESTRE Parfum/テ・ダラブッカ(エジプト) 楽器ダラブッカは太鼓の一種で、アラブ音楽やトルコ音楽、ベリーダンスの伴奏としても使われるそう。 リズムに合わせて、鼻あたりの良いベルガモットと甘いスパイスのキャラウェイ、甘い漢方のようなイモーテルとココアがチャイのように濃厚に、さらにウードの香りが深みを出して香る香水。灼熱の砂漠をオリエンタルな香りが包み込むイメージ。ウードの香りも感じつつ絶妙な甘さと重さのバランスが取れた香水です。この香水は日本の方だけでなく、ウードの香りをお探しの海外のお客様にも好評です。(浦野調べ)

NOTE:
ベルガモット、キャラウェイ、糖果、イモーテル、ウード、ココア、エゴノキ
ダラブッカ奏者:ニコラス・レロイ

ウード(沈香)の香りは日本での歴史も長く、書物「日本書紀」によると、日本と沈香の出会いは595年の推古天皇の時代とされています。
古来から日本人に愛されてきた香りに思いをはせつつ、香水を嗅いでみるのも面白いかもしれませんよ。