2020年 10月 25日
コラム
海の香り
NOSE SHOP渋谷で開催中のAbel特別展は、ご覧になりましたか?
2020年10月21日に世界同時発売された新作「CYAN NORI|シアンノリ」をフィーチャーした特別展となっています。
天然の「海苔」から抽出された香料が鍵となっている、特別な海の香水となっています。
いわゆるマリン系とは一線を画す、フルーティーなスウィートソルティムスク。
海の香りにこういった表現もあるんだ!と、視野の広がる体験でした。
海の街で育った僕はこれまで夏は毎年、近所の海で友達と遊ぶのが恒例でした。
浜辺に来た瞬間にふわっと鼻に届く海の香り、何よりも潮の独特な匂いになんとも言えないエモさを感じて好きなんです。
海といえば、夏を思い出しがちですが、夏のものだけにするのはもったいない!
ということでAbelの新作発売にちなんで、海から着想を得た心おどる海の香水をご紹介します!
イギリスのBBCのサイエンスフォーカスマガジンによると、海の匂いは大まかに3つに分けられるそう。
まず1つめは海の香りとしてメインに感じる「ブロモフェノール」という海藻や海洋虫から発される成分。
2つめはバクテリアや植物プランクトンによる「ジメチルスフィド」。これは硫黄のような香りがする物質だそう。
そして最後は海藻の出すフェロモン「ジクチオプテレン」。
この3つがメインで構成されているそうです。
ここまで分けて考えるとなんだかワクワク感がなくなりますよね。
個人的に海藻がフェロモンを出すというところがびっくりでした。
こちらが気になる方は元東大農学部の方のこちらの記事を読むと面白いかもしれないです。
では、マリンノートはどのような香りでできているのでしょうか。
マリンノートの代表的な内容物は合成香料の”Calone”(カロン、キャロン)という香気成分で占められています。
これは海藻のフェロモンの香りに近い構造をしているそう。
海の匂いの部分で出てきた「ジクチオプテレン」とは別のものですが、なんだか納得ですよね。
ちなみにこのフェロモンにはほのかに果実のような香りを含んでおり、キャロンにも共通しているそうです。
キャロンを香った際に僕の主観ではどこか瓜っぽい香りがしました。きっとここが果実の香りに近いのかもしれないですね。
Laboratorio OlfattivoのNEED_Uの香料の一つ「波のしぶき」もきっとこのキャロンかそれに近いものを採用しているんじゃないかなと勝手に思っています。
そんなマリンの香り、ノーズショップではどのようなものがあるのでしょうか。ご紹介します。
ノートを一切開示しないオルトパリージ。昨年の秋登場したこのブランドでは新作になっています。 海から着想を得たこの香りはまさに海。キャロンのような軽やかさや透明感がありながらも深みのある香りになっています。
浅瀬から深海になっていくような不思議な印象を持ちます。マリンでもここまで忠実に海を再現した香りは少ないのではないでしょうか。
トップ|ベルガモットエッセンス(イタリア産)、グレープフルーツ
ボディ|オレンジブロッサムアブソリュート(チュニジア産)、イランイランエッセンス(マダガスカル産)、ガルバナムエッセンス(イラン産)
ベース|アンブロキサン、カシュメラン、ティンバーシルク、ホワイトムスク
7月に登場したばかりの新作。BDK parfumsのセル・ダルジャン。
サマーフレグランスのコレクションライン、アズールコレクションの一つです。
海から上がってきた素肌から立ち上る塩気のある匂い。そして頬を撫でる風から着想を得たこちらの香りは言うまでもなくマリンの香り。
こちらは出したてはベルガモットとグレープフルーツの酸味と苦味から始まる爽やかな香りです。そしてベースにはカシュメランというしょっぱい香りのウッディムスクとホワイトムスクが現れ、潮風のしょっぱさを感じます。
カシュメランとホワイトムスク(おそらくキャロン)の影響によって香りが海らしい雰囲気の香りを作り上げてるんだろうと感じさせられます。
正統派でありながら、ありきたりでない。そんなマリンの香りです。
トップ|ナチュラルベルガモット、シチリアのレモン、ブルガリアンラベンダーにスウィートフェンネルのエッセンシャルオイル、これらは驚くほどにナチュラルでフレッシュ!
ボディ|ブルボンゼラニウム、オレンジブロッサム、そして注目せざるをえないアクアティックハーブコード
ベース|グルマンアンバーコード、ドライトンカビーン、アクアティックシダーウッドが支える。
ニッチフレグランス界の一匹狼、アンディタウアーによるタウアーパフューム。ニッチフレグランスブームが起こる前からスイスの山奥で調合からボトル詰め、商品の発送まで一人で手がける唯一無二の真なるニッチフレグランスブランドです。
このブランドの新作、フタロブルーは生命の起源であり、絶え間なく波のある活発な海への畏敬の念から生まれた香り。
全体を通してアクアティックなハーブとシダーウッドが全体の骨子となっています。そのため、フェンネルなどが香りながらもマリンな印象がグッと増します。
今回は海の香りをご紹介してみました。
リアルな世界の香りを小瓶の中に昇華させるその技量。すごく興味深いものでした。
ぜひ皆さんもポケットの中に自分だけの自然を入れてみてはいかがですか?
以下参考文献です。
Luis Villazon,Why does the sea smell like the sea?,BBC Science Focus(Retrieved July 20,https://www.sciencefocus.com/planet-earth/why-does-the-sea-smell-like-the-sea/)
2020年10月21日に世界同時発売された新作「CYAN NORI|シアンノリ」をフィーチャーした特別展となっています。
天然の「海苔」から抽出された香料が鍵となっている、特別な海の香水となっています。
いわゆるマリン系とは一線を画す、フルーティーなスウィートソルティムスク。
海の香りにこういった表現もあるんだ!と、視野の広がる体験でした。
海の街で育った僕はこれまで夏は毎年、近所の海で友達と遊ぶのが恒例でした。
浜辺に来た瞬間にふわっと鼻に届く海の香り、何よりも潮の独特な匂いになんとも言えないエモさを感じて好きなんです。
海といえば、夏を思い出しがちですが、夏のものだけにするのはもったいない!
ということでAbelの新作発売にちなんで、海から着想を得た心おどる海の香水をご紹介します!
海の匂いってどこからくるの?
海の匂いってそういえばどこから来るのでしょうか。イギリスのBBCのサイエンスフォーカスマガジンによると、海の匂いは大まかに3つに分けられるそう。
まず1つめは海の香りとしてメインに感じる「ブロモフェノール」という海藻や海洋虫から発される成分。
2つめはバクテリアや植物プランクトンによる「ジメチルスフィド」。これは硫黄のような香りがする物質だそう。
そして最後は海藻の出すフェロモン「ジクチオプテレン」。
この3つがメインで構成されているそうです。
ここまで分けて考えるとなんだかワクワク感がなくなりますよね。
個人的に海藻がフェロモンを出すというところがびっくりでした。
こちらが気になる方は元東大農学部の方のこちらの記事を読むと面白いかもしれないです。
マリンノートって何を使っているの?
海の匂いがこのような成り立ちでも、香水にこの香りが実際に使われているわけではありません。では、マリンノートはどのような香りでできているのでしょうか。
マリンノートの代表的な内容物は合成香料の”Calone”(カロン、キャロン)という香気成分で占められています。
これは海藻のフェロモンの香りに近い構造をしているそう。
海の匂いの部分で出てきた「ジクチオプテレン」とは別のものですが、なんだか納得ですよね。
ちなみにこのフェロモンにはほのかに果実のような香りを含んでおり、キャロンにも共通しているそうです。
キャロンを香った際に僕の主観ではどこか瓜っぽい香りがしました。きっとここが果実の香りに近いのかもしれないですね。
Laboratorio OlfattivoのNEED_Uの香料の一つ「波のしぶき」もきっとこのキャロンかそれに近いものを採用しているんじゃないかなと勝手に思っています。
そんなマリンの香り、ノーズショップではどのようなものがあるのでしょうか。ご紹介します。
ORTO PARISI|MEGAMARE
NOTE:非公開ノートを一切開示しないオルトパリージ。昨年の秋登場したこのブランドでは新作になっています。 海から着想を得たこの香りはまさに海。キャロンのような軽やかさや透明感がありながらも深みのある香りになっています。
浅瀬から深海になっていくような不思議な印象を持ちます。マリンでもここまで忠実に海を再現した香りは少ないのではないでしょうか。
BDK PARFUMS|SEL D’ARGENTS
NOTE:トップ|ベルガモットエッセンス(イタリア産)、グレープフルーツ
ボディ|オレンジブロッサムアブソリュート(チュニジア産)、イランイランエッセンス(マダガスカル産)、ガルバナムエッセンス(イラン産)
ベース|アンブロキサン、カシュメラン、ティンバーシルク、ホワイトムスク
7月に登場したばかりの新作。BDK parfumsのセル・ダルジャン。
サマーフレグランスのコレクションライン、アズールコレクションの一つです。
海から上がってきた素肌から立ち上る塩気のある匂い。そして頬を撫でる風から着想を得たこちらの香りは言うまでもなくマリンの香り。
こちらは出したてはベルガモットとグレープフルーツの酸味と苦味から始まる爽やかな香りです。そしてベースにはカシュメランというしょっぱい香りのウッディムスクとホワイトムスクが現れ、潮風のしょっぱさを感じます。
カシュメランとホワイトムスク(おそらくキャロン)の影響によって香りが海らしい雰囲気の香りを作り上げてるんだろうと感じさせられます。
正統派でありながら、ありきたりでない。そんなマリンの香りです。
TAUER PERFUMES|PHTALOBLUE
NOTES:トップ|ナチュラルベルガモット、シチリアのレモン、ブルガリアンラベンダーにスウィートフェンネルのエッセンシャルオイル、これらは驚くほどにナチュラルでフレッシュ!
ボディ|ブルボンゼラニウム、オレンジブロッサム、そして注目せざるをえないアクアティックハーブコード
ベース|グルマンアンバーコード、ドライトンカビーン、アクアティックシダーウッドが支える。
ニッチフレグランス界の一匹狼、アンディタウアーによるタウアーパフューム。ニッチフレグランスブームが起こる前からスイスの山奥で調合からボトル詰め、商品の発送まで一人で手がける唯一無二の真なるニッチフレグランスブランドです。
このブランドの新作、フタロブルーは生命の起源であり、絶え間なく波のある活発な海への畏敬の念から生まれた香り。
全体を通してアクアティックなハーブとシダーウッドが全体の骨子となっています。そのため、フェンネルなどが香りながらもマリンな印象がグッと増します。
今回は海の香りをご紹介してみました。
リアルな世界の香りを小瓶の中に昇華させるその技量。すごく興味深いものでした。
ぜひ皆さんもポケットの中に自分だけの自然を入れてみてはいかがですか?
以下参考文献です。
Luis Villazon,Why does the sea smell like the sea?,BBC Science Focus(Retrieved July 20,https://www.sciencefocus.com/planet-earth/why-does-the-sea-smell-like-the-sea/)
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